○底引き網体験①
子どもふるさと体験塾では毎年、海の町らしく子どもたちを船に乗せて海に連れ出し、基幹産業である漁業の作業風景を体感してもらおうと、青島漁船クルーズなるプログラムを実施しています。予定では先週土曜日でしたがあいにく梅雨時期の雨や風の注意報が発令され、延期を余儀なくされていました。昨日はその代替日なので、数日前から天気予報を気にしつつ待っていましたが、実行委員長である私の元へ「今日は実施します」と事務局の赤石公民館主事さんから一報が入ったのは午前6時過ぎでした。
早速身支度を整えスタッフ集合場所である上灘漁港へ、スタッフ集合時間である午前7時に単車で向かいました。到着するなり妻から携帯電話が入り、「雨の確立が70パーセントのようなので、雨合羽を用意しているから取りに帰るように」言われました。事務局でも簡易なビニール雨合羽は用意していますが、雨になると撤収用の作業が必要となるため完全防備の雨合羽は必要なので、心の中で妻に感謝しました。そのうち子どもたちも三々五々集まってきて受付を済ませ、漁協が用意してくれた最新の救命胴衣を体に装着し始めました。
この救命胴衣は今までのライフジャケットとは違って、万が一海に転落すると内臓のガスボンベの弁が開き膨れるようになってなっているのです。ハイテク救命胴衣の説明をしようとしている矢先、子どもの一人が触って遊んでいると、誤って賀詞ボンベの紐を引っ張ってしまい、エアーバッグが開いてしまいました。スタッフも子どもも驚いてその子どもの回りに集まり、ちょっとしたハプニングは思わぬ救命胴衣の説明会に早替りして、元気な子どもたちの一面を垣間見ることが出来ました。
海の上、しかも底引き網の作業は危険を伴うので、開会式ではその辺を厳重に注意して、さあ細い歩み板を渡って乗船です。船は5隻用意されていて、子どもたちも5~7人に班分けされて3~4人のスタッフとともに、敷いたビニールシートに行儀よく座らせ港を時間通り8時に出港しました。
昨日の漁場は上り潮なので下灘沖合いまで5席の漁船が船団を組むように中海まで走り、早速網入れです。太いローラに巻かれた重い網やロープが船長さんの手で勢いよく繰り出され、長さ10メートルもある網口張り棒を装着して海の中へ消えて行きました。
この日の海は雨も小康状態で降らず、心配されたやまじぜ風も吹かず、絶好のコンディションでした。網を引く漁船のエンジン音が響く中、底引き網漁は約一時間半ほど続けられ、何もすることがない子どもたちやスタッフは思い思いに話や遊びに講じていました。私も看護師で同乗した井上香代子さんと積もる話をしました。井上さんとはかつてフロンティア塾でご一緒し、10年で40回の殆どに参加した懐かしい思い出話に花を咲かせました。船から見える山の中腹には人間牧場も見えて、いつもだと人間牧場から海を見るのに、この日ばかりは海から人間牧場を見ていました。
「侮るな 何より安全 第一と 開会挨拶 ゲキを飛ばして」
「雨風も ない海まるで 鏡のよう 海の彼方に ふるさと見える」
「フロンティア 塾で学んだ 盟友と 懐かしみつつ 昔を語る」
「底引きの 網を入れたる 緊張感 いつしか消えて 船上笑みが」