shin-1さんの日記

○ローカル線の列車旅②(まるで貸切)

 そのうち子どもたちが列車に乗るため集まって来ました。切符を渡す担当の松田さんが名簿をチェックし、子どもは半額なので前もって団体割引で購入していたチケットを二人に一枚ずつ渡しました。二番ホームへ入ってきた1両編成の列車はのぼりの列車の待ち合わせがあって15分近くも上灘駅で停車するのですが、暑いさなかなので冷房の効いた車内で待つ方が得策とばかりに後乗り前降りの列車に乗り込みました。高野川駅から乗った赤石さん引率の子どもたちと合流し、大洲目指していざ出発です。

若松進一ブログ
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 昼間の時間帯ということもあって一般の乗客は少なく、私たちの一行がまるで貸切のように陣取りました。線路の両側には視界を遮るように夏草が繁り、その隙間を塗って右側の車窓には夏の凪いだ海や島影が美しく見えましたが、キョロキョロと眺める大人たちを尻目に子どもたちは楽しいおしゃべりをしていました。列車の運転席の直ぐ横に立って、列車の進む方向を注意深く見ている私とはまるで違った過ごし方のようでした。

 やがて列車は下灘駅構内に入りました。見慣れた子どもたちが手を振りながら乗り込み、ここで全員の参加者34人が勢ぞろいしました。

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 かつて日本で一番海に近い駅と形容された下灘駅も、私にとっては日本で一番思い出煮の頃駅でもあります。

 列車は長浜で4~5人の乗客を降ろし海岸線から肱川に沿って大洲を目指して走りました。今日から夏休みの気の緩みか、また朝早くからの緊張が緩んだのか、中にはコックリコックリ居眠りする子どもたちもいました。出石・白滝・八多喜・春賀・五郎と進んでお酔い予目的地の大洲駅に到着しました。

 僅か1時間程度のローカル線の旅でしたが、夏の澄み切った青空やひなびた沿線の風景は、車では味わえないどこかノスタルジックな懐かしい感じがしました。できれば孫と一緒にこんな長閑な旅をしてみたいものです。

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○ローカル線の列車旅①(上灘駅の思い出)

 昨日は予讃線海岸周りの列車に乗って、上灘から大洲まで子ども体験塾参加の子どもたちと一緒に小さな旅をしました。日ごろは車オンリーの暮らしをしている私にとって、この路線の列車に乗るのは久しぶりで、見るもの聞くものが懐かしく、少年の日に帰ったような気持ちになりました。

 午後1時15分に上灘駅に集まる予定でしたが、妻に駅まで見送ってもらったので少し早めに駅に到着しました。駅前の上田のお店に立ち寄り奥さんやご主人と雑談をしましたが、この家のおばあちゃんも今日はショートスティに出かけたらしく留守でした。実はこのおばあちゃんは、忘れられない思い出の人なのです。

 もう忘れるほど何年も前の出来事です。私を主人公にしたNHK明るい農村「村の若先生」というテレビ番組の取材で東京からやって来たカメラマンとディレクターが、上灘駅に迎えに行ったのに下りて来ず、間違って下灘駅に下りてしまったのです。その人たちを不思議そうに待っていると、あの当時は若かったおばあちゃんが、「若松さん幾ら待っても来ないよ。どうも間違って次の下灘駅へ降りたらしい。今役場から電話があってそちらへ迎えに行くよう伝言がありました。早く行かないと日が暮れるよ」と、息せき切って伝えに来てくれたのです。

 私は急いで下灘駅へ向かいましたが、下灘駅で今まさに西瀬戸の水平線に沈まんとするダルマの夕日を見たディレクターが「この夕日は綺麗。感動した」と発した言葉が私の心の中に潜在する夕日の思い出を顕在化し、その後の雄飛によるまちづくりにつながったのですから、世の中は分からないものです。携帯電話とてなかった当時のことゆえ、NHKのディレクターは下灘駅前の福井商店から役場へ、役場は上田商店へ声のリレーをして私に伝言が伝わったのでした。その発信源はこのおばあちゃんなので、今でもその当時の思い出がリアルに蘇ってくるのです。

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 久しぶりに訪ねた上灘駅は昼間のことゆえひっそりとしていました。プラットホームの傍には誰が植えたか知るよしもない、夏を告げるオニユリやハマユウの花がひっそりと咲いていました。かつては蒸気機関車がわがもの顔に走り隆盛を誇っていた鉄路も、夏の暑さや最近の雨で赤錆が目立ち、少し疲れているようにも見えました。列車の来ないことを確かめてプラットホームから線路に降りて、町のシンボルである本尊山をバックのロータッチな写真を一枚撮りましたが、この風景も味があって私のお気に入りの場所なのです。

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  「夏告げる オニユリ・ハマユウ ひっそりと 咲いてローカル 駅の風情を」

  「駅前の おばちゃん伝言 思い出す あのことなくば 夕日気付かず」


  「この鉄路 かつては蒸気 機関車が わがもの顔に 黒煙上げて」
  「あの駅長 今頃どうして いるのやら 懐かし顔の 幾つか思う」

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