○Mさんに出会って妻が優しく見えました
「遠出は危ないから」という妻の忠告を受け入れて、公共交通機関を利用した今回の岡山行き一泊二日の旅も、午後7時半に松山駅へ到着する特急しおかぜ便で無事フィナーレを迎えることができました。わが町はそこから先へ8つものローカル駅を通り越さねばならないのですが、案の定伊予市より向こうへ進むことができず、妻が松山駅へ迎えに来てくれました。
本当は出張している私が電話をかければいいものを、相変わらずの無精者ゆえ、妻から朝夕定期的に電話がかかって近況を報告してもらっているので、久しぶりの出会いとは思いませんが、それでも列車で巡った旅なので少し懐かしい感じもしました。
夕食時ゆえ久しぶりに帰り路、馴染みの中華料理店へ立ち寄り、坦々麺と酢豚を注文して大汗をかきながら舌鼓を打ちました。
自宅に戻ってみると、どっさりの郵便物と、FAX通信、それにメールを開ければこれまた沢山のメールが届いていました。少しため息をつきながら、これらの処理は後にして、とりあえず今日のノルマであるブログを一本書き始めました。
今日は偶然にも岡山から同じ特急しおかぜに友人のMさんが乗り合わせていました。そのことに気がついたのは、Mさんが今治付近でトイレに立ち、その帰りぎわに新聞を読んでいる私を目敏く見つけてくれたのです。岡山から同じ列車に乗り、同じ松山を目指しながら気がつきませんでした。今治からだと僅か30分足らずしか時間が残っていませんでしたが、お互いが懐かしく話をしました。
私より2歳年下の彼も私と同じように既にリタイアしていますが、退職離婚というのでしょうか3年前奥さんと別れたそうです。子どもも片付いているので今は気ままなひとり暮らしだそうです。彼の視線の向こうに一見品のある見知らぬ女性を見つけました。見ず知らずの私に軽く会釈するその女性は、聞けば世に言う彼の恋人のようで、今日は岡山の後楽園に日帰り旅行をしたというのです。私は驚きました。私も昨日と今日の日こそ違え、出張のついでに昨日後楽園へ行っていたのです。
彼の気心を察して私は、昨日一人で後楽園へ行ったことはついに最後まで言えませんでした。彼の彼女は私の妻に比べれば所帯やつれもしていない美しい女性でしたが、私は羨ましいとは思いませんでした。むしろ真実一路私やか家族のために一生懸命働いてくれる私の妻が立派に思えたのです。
列車は何事もなかったように松山駅に着き、Mさんと彼女は卓氏乗り場へ消えて行きました。私は駅前の車止めに行くと、見覚えのある私の愛車の中に笑顔で手を振る妻を見つけました。「お父さんお帰り。疲れたでしょう」。「うん少し疲れた」。月並みな夫婦の会話でしたが、今晩の妻はどことなく優しく感じました。
縁あってわが家に嫁いで来てから早くも40年が経ちました。幸せなことに色々な荒波もありましたが、何とか今は二人とも健康にこうして穏やかな老後を迎えているのです。これも妻のお陰と思いながら、これからも二人仲良く生きて行きたいと思った夜でした。
「別れたが 早くも次の 人連れて 日帰り旅行 楽しむ友あり」
「俺などは 生涯一人 しかいない 羨ましいと 思わぬほどに」
「若し別れ 別々な道 歩んだら 私は直ぐに 死んでしまうな」
「もう少し 感謝を態度 表せと 言う妻だけど これで十分」