○大村はまさんの教え
昨日少しばかりの時間があったので、私が学校評議員をしている上灘中学校へ出かけました。この学校は来年度から町内のもう一つの下灘中学校と統合することになっていて、学校の耐震基準や統合を理由に本館が壊されて新築することになっています。そのため広い運動の片隅に仮校舎や職員室が造られ、既に一部分は引っ越しを済ませていました。正門は閉ざされ東門から入るよう誘導表示があるため、運動場入口に回ると、運動場の真ん中に砂で仮舗装された道ができ、職員室まで続いていました。
訳の分からぬまま職員室と思しき部屋へ居合わせた職員に諭されて入りました。教頭先生と事務職員の二人が在室されていて、お茶をいただきながら経過や様子を聞きましたが、あと半年を切った統合に向けてめまぐるしい準備が進められていて、職員室の黒板は書き込む場所がないほどの予定がぎっしり書き込まれて、それを見ただけでも先生たちの忙しさを垣間見る思いでした。
校長先生はあいにく外出中で留守でしたが、そのうち帰られ校長室へ通されました。プレハブと言いながら校長室はきちんと整理整頓が行われていて、品のよい置物が座卓の上に置かれ、いつもながらセンスのよさを感じました。
ふと入口カウンターの上を見ると、達筆な言葉が額に入れられて飾っていました。無能で凡人な私にはその言葉の最後に書かれている「大村はま」という人物が一体だれなのか知る由もなく、ざっと目を通していると校長先生が、「若松さんもしよかったら差し上げましょうか」と、是非という私の言葉にほだされてその文章のコピーをいただきました。
聞けば「大村はま」さんはもう亡くなっていますが、日本的な国語の指導者だそうで、一生現役を貫いた国語の先生らしいのです。一生現役といっても教員には定年もあるしと水を指しましたが、庭園になっても拒否して辞めなかったらしく、そこら辺が私には納得いかない話でした。国語の先生を目指していた校長先生にとっては雲の上の存在として尊敬し、時には希望の星として先生の教育を天井に目指したそうです。この先生は授業をする前日はシナリオ作りに全精力を傾け周到な準備をして授業に臨んだそうですが、その行き過ぎた指導に批判もあったらしく、今更ながら道の厳しさを垣間見た思いがしました。
ひとしきり学校の現状やこれからの予定をお聞きして学校門を出ました。この校長先生は余程のことがない限りいつも校門まで出て見えなくなるまで送ってくれるのです。いつも忙しいからと辞退するのですが笑顔で送ってくれるのです。送り方の見本と思って私もつい最近出来るだけ校長先生を見習うようにしているのです。
さて家へ帰った私は早速記録にとどめておこうと、このコピーをプリンターで画像に取り込みました。息子のお陰で何とかプリンターも巣差できるようになりましたが、いかんせんA4版対応の機種ではB4は上手く入らず、結局B4を2枚に分割してスキャナーで取り込みましたが、これを合体することができず残念の極みです。それでもこれでパソコンが傷まない限りこの言葉は直ぐにでも取り出せるのです。ペーパーは失ったり劣化するのですが、できたらCDに転写して大切に保管したいと思っています。あえて注釈や講釈はしませんが、味わい深い言葉なので、画面に表示しておきます。
「先人の 言葉しみじみ 咬み分ける 道一筋の 教え尊し」
「統合に 向けて準備が 着々と 感慨深げに 辺り見回す」
「送り方 見習いたいと 思いつつ 今日も送られ 見返り帰る」
「昇任の 校長今は 逞しく なりてテキパキ 仕事こなしぬ」