○北海道佐呂間町にて
9月16日は移動日で、羽田を経由して北海道に入ったその夜、私の泊っている悠輪閣というホテルで交歓交流会がありました。集まった人の中には井田貴子さんもいて、賑やかな交流となりました。広間の卓上には海の幸がどっさりです。中には写真のようなタラバガニの刺身まであって、足の皮をむいている身はまるで花が咲いたような料理で美味しく、テレビでは見たことがありますが食べるのは初めてで、美食の限りとはこのことでした。
お酒の飲めない私はあいにくウーロン茶での付き合いとなりましたが、美食ゆえに大酒を飲んだ昔が懐かしく、少々残念でした。
集まってくれた10人ほどの社会教育関係者はボランティア精神旺盛で、飲むほどに酔うほどにそれぞれの楽しい日ごろの生き方を披露してくれました。
そんな中に佐呂間で整骨院を営む尾崎実さんがいました。彼は髭を蓄え中々のものです。結局明くる日の昼食を尾崎さん宅で用意するから来てくれという話しになりました。酒に酔った席での発言だし、初対面なので失礼だと思いましたが、私たち4人の一行は昼前尾崎さんの整骨院を訪ねました。尾崎さんは患者さんを治療中だったので、奥さんのご案内で何年か前まで保育所をしていたというキッチンへ案内されました。
奥さんは高齢者施設に勤務していますが、午前中休んで手間暇かけて私たちのために素敵な手料理を作ってくれました。皆でご相伴にあずかりましたが中々のお味でした。
さて午後からいよいよ私の仕事である講演が始まりました。最初の講演先は佐呂間高校で120人の生徒を前に講演です。1全校生徒が講堂に集まり、「青春へのメッセージ」と題して講演を行いました。県内外で高校生に話す機会は多いのですが、佐呂間高校の生徒たちは聞く態度も立派で、80分間楽しく聞いてくれました。それにしても北海道の高校生に話す機会など滅多にないものですからいい経験ができたと喜んでいます。
私はこの日、46年前の出来事から話しを始めたようです。水産高校の練習船愛媛丸で南太平洋へ遠洋航海に行った折の、死を覚悟した大しけの海からの生還を通して生きることの大切さやふるさとの有り難さを学んだ話は少々昔のことながら、とっさに思い浮かんで話したのです。また目標を持って生きることの大切さも体験として話しました。
「タラバガニ 俺を喰うかと 睨んでる 諦めろよと 言いてほおばる」
「縁もなき われに昼食 ご馳走す 整体院の 夫婦に感謝」
「北国の 高校生に 話しする いきなり昔 思い出しつつ」
「俺だって 昔君らの ようだった 若さはいいな 買えるものなら」