○かまどの上塗り工事
かまどの築炉工事も築炉が終わり、いよいよ最終段階に入ってきました。この4日間仕事の都合で工事に立ち会わなかった息子は、今日も仕事で来ることができないため、朝早くにわが家へやって来て、私を誘い人間牧場へ行こうとしましたが、原稿の締め切りでバタバタしていたので、息子だけが出かけて行きました。往復1時間もたったでしょうか、息子はわが家へ帰ってきました。大体想像通り、設計通りにできているようで満足の手合いでした。今日も何の役にも立たないのに、現場監督みたいな役割を持った私が立ち会うため、色の具合を息子から聞き、細かいことは左官さんと電話で話すということで帰って行きました。
昨日は築炉工事の終わったかまどに上塗りをしました。息子の設計図に描いた色が少し暗いイメージだったので少し赤くするようです。左官さん二人は色粉を入れて漆喰を作り、かまどに試し塗りをして色具合を確認して塗り始めました。少し派手かなあと思いつつ見ていましたが、磨きをかけたりかまどに熱が加わるともっと落ち着いた色になるので大丈夫だと左官さんは無心に上塗りをかけていました。前日中塗りにかなり時間をかけて鏝で押さえていたのが分るように、上塗りは色をつける程度の薄い仕上げでした。
(上塗りを終了して、かまどにハガマを置いた最終雰囲気)
いやあ長い築炉工事でした。たったこれだけの作品とも呼べる工事に二人で4日間もかけたのです。しかしもう見ることはないであろうかまど築炉工事の一部始終を見ることができて感激です。まさにこのかまど造りの生き証人となったのです。一つの耐火レンガを積み上げて行く途方もない細かい作業はまさに職人芸といわれるもので、できあがったかまどは画家が描く絵画と同じようにこれはもう立派な作品です。
二つの焚き口の中ほどにくぼみを作っていますが、ここに長野県から送られてくる彫刻をはめ込み、煙突に幅気を入れれば全ての道具類が入ることになるのです。火を入れるのが惜しいような気もしますが、かまどは使い込んでこそ味が出る生活の道具なのですから、しっかりと使いたいと思っています。
最後の工程は磨きだそうで、上塗りが渇いたらピカピカに磨き上げるのだそうです。私は所用で午後から始まる磨き始めの行程を見ないで人間牧場を後にしましたが、台所の貴婦人とでも呼びたいかまどはいったいどんな化粧をするのかこれまた楽しみです。
最初の薪はクヌギで焚きたいと思っています。急いでクヌギの木を調達して薪を作らなければなりません。さあ人間牧場に薪割りという新しいメニューが加わりました。今年はクヌギが葉っぱを落とす冬にクヌギを確保して薪を作りたいと思っています。10個植えたこんにゃく芋も一つが枯れただけで順調に育ち子芋の葉っぱも見えてきました。こんにゃく作りも楽しみです。かまどの完成によって、ここにきて夢は一気に広がってきました。
それにしても4日間、草刈り作業をしながらかまどの築炉工事に立ち会ったため、厳しい残暑で真っ黒に日焼けしました。「若松さんお元気そうですね」と会う人ごってそう言われます。もう日焼けを気にする歳でもないので、すっかり精悍になった自分の顔を少し好きになりました。
「四日間 二人の左官 手間暇を かけたかまどが ついに完成」
「かまどなど 昔のものと 思ってた いやあ驚き ついに手に入れ」
「火が燃えて かまどぶくぶく 湯気が立つ そんな連想 早くもしつつ」
「さて次は 何に取り組む 次の夢 聞かれて内緒 実はあるんだ」