○劇団イリュージョン夏公演鑑賞
ある集会で配られた「2009劇団イリュージョン夏公演」というチラシを見て私は驚きました。チラシにはCASTとSTAFFの欄があり、STAFFの欄にかなり大文字で「舞台監督若松一生」と書かれているではありませんか。わが息子一生は高校生の時代から演劇をやっていてましたが、最近は日赤の看護師として忙しい毎日を過ごし、家にも殆ど顔を見せないので、もう演劇から遠ざかって卒業したと思っていました。ところが息子の名前があろうことか舞台監督となっているのです。
愛媛県松山市で演劇活動をしている劇団イリュージョンは、先日25周年を迎えた戒田節子さん率いるみかん一座とともに、かなりハイレベルな活動をやっていて、今年で24年目を迎えているようです。舞台監督がどんな役割なのか、素人の私には分りませんが、昔のように舞台で踊るCASTではないにしても、かなりの部分で演劇と深くかかわっていることは事実なのです。まあ息子も30歳を超えているのですから、親の知らない部分があっても不思議でないし、演劇が健全な活動なので別に心配することではないのですが、看護師と言う忙しい仕事とハードな演劇を一緒にこなすことは体力的にもかなりきつく、健康面での心配をするのです。
昨日は息子から2枚のチケットをいただいたので、私の講演が午前中に終わったので、高島屋で娘や孫たちと昼食を終えた後、JAの駐車場に車を預け妻と二人で堀の内にある市民会館まで歩いて演劇鑑賞に出かけました。会場は1時30分なので1時10分に列に加わりましたが、かなりの長い列の中には知人や友人もいて、残暑の厳しさも、列の長さも、先日25周年のみかん一座と同じような雰囲気でした。やがて冷房の効いた中ホールへ入り毎年見ている前列10段目くらいな左よりの場所に席を陣取りました。
今年は「千年さくら」という演目でした。舞台はしだれ桜がそれは見事に飾られて、今までのものとは少し違った雰囲気でした。
「もう一つ首があれば千人の首が揃う。さくら姫の千年の悲願がかなう。千年の歳月を経たさくらの木が咲き揃う時、少年たちは結界を破って異世界へと入って行く。そこは浄土でもなく地獄でもない。この世に思いを残した人間の彷徨世界。あと一つ首が欲しいと願うさくら姫とそれをかなえさせようとする侍従たち、3人の少年たちは各々、自分の心に秘めたものを持って結界を破ってやってきた。門番のいう「ここを出て行きたいのならお前の首を置いて行け」・・・・・・・。ストーリーは面白く展開してゆくのです。
今年のストーリーはいつもの年より分り易く、また2幕仕立てが1幕仕立てで途中休憩もない迫力に富んだものでしたが、今年もいい演劇に仕上がっていました。演劇が終わり舞台あいさつに立った作・演出の井上佳子さんとロビーで会話を交わしました。出演した馴染みの息子の友だちたちにもねぎらいと感想の言葉をかけて会場を後にしました。残念ながら舞台裏で黒子のように働いているであろう息子には出会えませんでしたが、あの大掛かりな2時間半もの舞台を動かす歯車の一つとして動いたであろうと思いながら、演劇活動で様々な生き方を学んでいる息子に思いをはせました。
今年はこの8月に2回も演劇を楽しむ幸運に恵まれました。みかん一座は友人たちと、今回は妻と一緒にでしたが、演劇鑑賞によって毎日あくせく働く社会から引き戻されて、感性に触れるような気分になりました。地方都市松山でもその気になれば結構演劇や音楽などに触れることができるのですから、いい所に住んでいると思うのです。智のコンテンツを得たり高めたりするのにはこうした機会を積極的にとらえなければならないとも思いました。妻も「お父さん、今年の演劇も良かったね。また来年も見に来ようね」という言葉が印象的でした。
「パンフ見て 息子の名前 驚いた 舞台監督 大したもんだ」
「仕事しつ 合間を縫って 演劇を 何処か私に 似てる気がする」
「演劇で 俗世患う 気を直す 頭や心 霧が晴れ行く」
「演劇は スタッフキャスト 一丸と なって一つを 作り上げゆく」