○愛媛大学のフィールドワークで長浜町を訪ねる
学生たちにとっては8月~9月と2ヶ月間の長い夏休みが始まりました。アルバイトに勢を出す学生にとってはかき入れ時とばかりに働く学生もいるでしょうし、久しぶりの休みをふるさとへ帰郷して久しぶりにのんびりする人もいるでしょう。また旅や遊びを友人たちと計画して楽しむ人もいるようです。まあ2ヶ月思う存分充電して欲しいものです。
本来なら7月28日に計画していたフィールドワークの授業が、学生たちの期末試験の都合で、夏休み中にずれ込んでしまい昨日実施する事になりました。授業の組み立てから折衝まで全て自分がしなければならないため、最初は多少戸惑いましたが、6年目になるとさすがに要領を得たもので、あらかじめ大学に提出したシラバスと予定表に沿って今年は中島町、中山町、長浜町と偶然にも「な行」から始まる三つの旧町を選びました。既に中島町と中山町は終わり、昨日事前に足を運び依頼していた長浜町の役場を訪ねました。
学生たちはもう大人なので、最初の頃のように大学入口から引率することはせず、汽車の予定時刻や到着時刻を知らせ、私は長浜駅まで車で出かけ、到着時間を待ちました。何時もの事ながら一人ぐらいは都合が悪い学生がいるもので、岡本君は家のご不幸で欠席通知が事前にありましたし、長浜へ向う途中学生から列車に乗り遅れたと携帯が入りました。次の列車で遅れても来るように指示を出し、揃ったので日差しが照るつける中を長浜町支所へ向って歩きました。意識して商店街を歩きましたが、商店街も次第に活気を失いつつある姿が印象的でした。
(支所2階の会議室での研修会)
(西岡支所長さんのレクチャー)
長浜町支所では案内された冷房の涼しい2階の会議室に案内されました。この会場はかつて私が現役の頃、予讃線海岸回り存続のために設置された協議会の総会などで度々訪れている懐かしい会場です。今はこの建物全体が登録文化財になっていて、古い建物の威厳と重みを感じさせてくれました。10時半から始まった研修会は西岡支所長さん自らが講師になって、あらかじめ作製していただいた資料に基づいて微細なお話をしっかりとレクチャーしていただきました。長浜町は旧他市町村と違い埋め立て造成地による企業誘致を政策の柱に掲げて町政をやった町です。合併前と合併後のまちづくりもさることながら、企業誘致の思惑と現在の様子を比較する絶好のサンプルとなるお話なので、しっかりと勉強するよう学生には事前に話しをしておきました。
レクチャー後質問座談をしましたが、学生たちは食事の時間を割いて質問をし、支所長さんも熱心に答えていただきました。西岡支所長さんはじめ役所の方々の中には顔見知りも多く、今回のように無理をいって受け入れてもらい、お礼の言葉もないくらい感謝しています。
食事が終った午後からは現地研修です。歩いて行ける距離ということで長浜高校と赤橋の2つの地点を選んでもらいました。最初に訪れたのは長浜高校です。生徒数も減少している長浜高校ですが、ここは普通科ながら学校内に手づくりの水族館がある珍しい学校です。その中心的な役割を果たしている松本先生はあいにくクマノミの件で沖縄に出張中でしたが、角田校長先生が生徒とともに出迎えてくれました。聞けば角田先生は大洲市田処の亀本耕三さんを通じて出合ったことがあるらしく、懐かしく話しを聞きました。小さな田舎の高校でもこうしたオンリーワンの輝きがあるのですから、やる気になれば面白いと思いました。学生たちは始めて見る不自然な自然に目を見張り、生徒さんの説明を熱心に聞き入っていました。お礼のつもりで募金箱にもみんなで御芳志を入れさせてもらいました。
次の目的地は赤橋です。有形登録文化財になっている赤橋をボランティアガイドの山本会長さんに説明してもらいました。そして私たちのため車を止めて赤橋を稼動させ上げて貰いました。こんなサービスまでして貰い嬉しい限りです。
赤橋のたもとに見落としそうな江湖の港があります。ここは脱藩の道をたどった坂本龍馬が肘皮を小船で下って入港し、山口県へ出港した港として歴史家には有名ですが、地元では忘れ去られたような存在のようで、余り関心がないようです。近くにある龍馬宿泊の旅籠跡も見学させてもらいました。
(山本さんの説明に聞き入る坂本龍馬ゆかりの江湖の港)
(坂本龍馬宿泊地)
その後あいさつのつもりで村上薬局に立ち寄りましたが、知人の店主村上さんからよく冷えた栄養ドリンクを学生の数だけいただき、恐縮してしまいました。学生たちは4時10分長浜駅発まで約1時間を暑いがゆえに散策もままならず、苦労したと思いますが、これも修行と思い私は次の予定があるので、早々に長浜をおいとましました。
「合併で 次第右肩 下がってる 地方の嘆き 上に届かず」
「いいものが 沢山残る 隣り町 古き値打ちに 思わずゴクリ」
「暑いのに ガイド引き受け 切々と 語る額に 玉汗光る」
「有り難い 昔馴染みの よしみにて 気配りもらい 学生学ぶ」