shin-1さんの日記

○忘れじょう

 今朝は昨日の雨が嘘のように晴れ上がり少し肌寒い感じのするすがすがしい朝です。例によって朝起きると敷地内別棟の隠居に出かけ、日課である親父のご機嫌伺いです。親父は既に朝の散歩も終わっていて今日の作業の準備をしながら私の来るのを待っていました。昨日あった事をまるで子どものように私に話すのです。90歳になる親父ですから耳も遠く、同じ事を必ず二度問い返したり答えたりしながらの会話なので魔泥腰いのですが、これも年寄りへの対応であり長男の務めと自分を納得させて対話をしています。

 親父の話によると昨日は近所の金物屋へ買い物に出かけたそうです。ところが店で買い物をしてお金を払うようになって財布を忘れていることに気がついたそうです。お店の主人は顔見知りで「いつでもかまわん」と言ったそうですが、親父はその言葉が嬉しくて「年寄りなのでまた払うのを忘れたらいけないのでこれから帰って持ってくる」と言い残して再び財布を持ってその店を訪ねたようです。「歳をとると物忘れが多くボケていけません。」と詫びを入れたそうですが、親父の心配は物忘れがひどくなったことだそうです。私はその話を聞いて「じいちゃん、財布を持っていない事を思い出したり、それを取りに帰る道を覚えているんだから大丈夫よ」と褒めてやりましたが、笑いながらどこか空しく歳をとることや死への不安がよぎっているようでした。

 歳をとれば誰でもピーク時のような記憶力は望むべきもありません。これは当然のことなのですが、それを悲観的に考え過ぎると「ああ俺も歳か、駄目かもしれない」と右肩下がりになってしまうのです。私は親父に「じいちゃん歳をとると忘れるのは当たり前、わしだって物忘れはあるよ」と自分を引き合いに出して話してやるのです。人間は忘れないと覚えていることがいっぱいあり過ぎて頭が爆発するらしい」とありもしない他愛のない話をしました。昨日のことも今日のことも全て覚えていると人間の脳は覚えることで混乱するから、忘れるのが丁度よいのです。

(中国四国青少年施設長研修会風景、顔なじみの大洲青少年交流の家の所長さんも参加されていました)

 そういえば私もつい最近は忘れることが多くなったように思います。私は出かける時忘れ物をしないよう心がけているつもりです。腕時計、携帯電話、ハンカチ、名刺、免許証などいわゆる出かけるための7つ道具を手で触って確認するのです。気になるカバンを提げていざ出陣です。ところが昨日は中国四国地区青少年教育施設連絡協議会一説長研修会が県立中央青年の家であって記念講演を頼まれて出かけたのです。前日の帰りが遅かったためレジメの作成が遅れ早朝になってしまいました。仕上がったレジメをプリントアウトするまでは完璧でした。それから食事を済ませて出かけたたものの、青年の家に到着してはたと気がつきました。プリンターの上に置いたままのレジメの存在を・・・・・。しまったと思いましたが後の祭りです。でも今の世の中は便利です。家内に電話をかけ青年の家のFAX番号を知らせて送ってもらい事なきを得ました。

 昨日の夜は日程のダブリでこれまたドタバタ劇です。自分ではちゃんと管理しているつもりでも相手とのコミュニケーションが上手くいかずお互いの思い込みで遠方から次の予定地まで移動できなくなってしまいました。講演が終わればそれで移動できると思っていた日程が夜の部の研修まで予定されていたのです。どちらを優先するか迷うのですがどちらも中途半端にある恐れがあるので、怒られるのを覚悟で決断しました。物忘れが自分の範囲内で終わればまだ良いのですが思いこみや勘違いによって相手に迷惑を掛けることの愚かさをしっかりと肝に銘じた一日でした。

 親父の物忘れという病気は息子の私にもまるで麻疹のようにうつりつつあるようです。物忘れの予防注射はないものかと思ったりしました。

  「物忘れ しないと頭 爆発す そんな戯言 親父笑って」

  「物忘れ しない注射は ないものか 多少高くも 求めるものを」

  「しまったと 何度も驚き 来たことか 俺の人生 ど忘れ人生」 

  「ああ俺も 親父の度忘れ 遺伝した 思えば親子 似てるもんだな」

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