○大豊作のほうれん草
今年の冬、わが家の畑ではほうれん草が大豊作で、殆ど毎日といっていいくらいほうれん草のおひたしを食べています。若い頃からどちらかというと肉よりも魚が好きな私は、その付け合せともいえる野菜が好きで特にキャベツは毎朝常食として食べています。妻の作る料理にはふんだんに野菜が使われるため、当然ながら野菜が好きになったのです。
あるお医者さんの話だと地球上に住んでいる人間は大別すると肉食と草食に分かれるのだそうです。まるで恐竜の世界の話のようですが、肉食を好む人種は腸の長さが短く、草食を好む人種は生まれた時から腸がとても長く出来ているのです。勿論私たち日本人は草食動物的人種なので腸はかなり長いようです。これは肉と草の消化時間の違いから長い食生活習慣によって進化を遂げてきたわけですから、肉が好きだからといって急に腸が短くなるのではないのです。ところが草食人種であるはずの日本人の食生活がこの50年で大きく変わりました。草食から肉食に変わったのです。肉を消化するには短い腸で出来るだけ早く便にして外へ出さなければならないのに、腸が長いものですから宿便や便秘になって体内に留まり、ついにはそれが腐敗して胃や腸の内面を壊すのです。胃ガンや大腸ガンがこの50年間で死亡率のトップになった原因はここから来ていると断言する人さえいるようです。
そういえば日本人の食生活は私たちの子どもの頃と今と比較すると雲泥の差です。年に1度か2度しか食べなかった肉を日常食として食べるようになりました。松坂牛に代表される霜降りの柔らかい脂身の肉をテレビのコマーシャルにつられて食べ続けると誰だってコレストロールが増えたり肥満になったりするのです。それでも飢餓を体験した私たち世代は豊かさの象徴としてそんな食生活に未だに憧れているのですからおかしな話です。50年の食生活の変化に腸の長さがついて行けるほど人間の細胞の進化は早くはないのですから、日本人が草食人類であることの理解をしっかりとすることが長生きの秘訣かも知れないのです。
ほうれん草を毎日のように食べると、発癌物質が多いので要注意と言われています。でも肉を毎日食べるとガンになるとは誰も言いません。それでも私はほうれん草を食べる方が健康にいいと思って食べているのですから、よほどの変わり者か偏屈なのでしょう。
ほうれん草はグラタンにしても美味しいです。妻は若い頃ほうれん草の食べ方はおひたしくらいにしか思っていませんでしたが、
少し時間的余裕が出来たのか、料理の本などを捲ってレシピを見ながら色々な料理を作ってくれます。例えばグラタンもその一つですがこれが滅茶苦茶美味くて、結構気に入っているし、ほうれん草を湯がいたものを芯にした巻き物も中々美味しいです。ほうれん草が豊作になった一番の功労者は暖冬という気象異変と種から育ててた親父なのですが、近所へ配っても冬野菜のことゆえ結構喜ばれます。近所に住む人の中には野菜を全て買う家庭もかなりあるので、無農薬で栽培するわが家のほうれん草は重宝がられているようで、先日は御礼にと珍しい物をいただきました。
ほうれん草は冬野菜、谷間に位置するわが家では冬の太陽が中々顔を出してくれません。ですからブロッコリーも大根も、キャベツも、もう春の話題がちらほらというのに冬野菜の全てがこれから旬を迎えます。まさに遅咲きの旬と言ったところでしょうか。
「エンダイブ 珍し野菜 食卓に ピリッと辛い 春の味する」
「報告や 連絡相談 ホウレンソウ 行政マニュアル 聞いた聞いた」
「グラタンを フウーフウー言って 口にする 春の香りが 口に広がる」
「食べますか チャイム鳴らして ホウレンソウ 差し出す私 中からいつも」