○翼の王国という雑誌に翠小学校が載りました
先日全日空の飛行機に乗って機内備え付けの雑誌「翼の王国」を読んだ話をブログに書いたところ、私のブログの読者さんから感想の書き込みがありました。その書き込み記事の中に、「来月号の翼の王国という雑誌にあなたの町の翠小学校の記事が載るそうです」とお知らせがありました。その日の来るのを心待ちにしていましたが、先日群馬県や山梨県へ相次いで出張することになって機内でその雑誌にお目にかかりました。
ご承知ない人もいらっしゃると思いますが、2年前まで教育委員会で教育長をしていた私の町には、愛媛県内で現役では最も古い木造建築の小学校があるのです。築75年を超えるこの小学校は翠小学校と言って児童の数は30人そこそこの小さな谷あいの小学校です。翠とはカワセミという美しい鳥に由来するそうですが、校名を聞く度に何とも奥深い文化の香りを感じるのです。
最近学校が学校らしくないといつも感じます。日本の風土に合わない鉄筋コンクリートならぬ借金コンクリートの建物がやたらと多く、その殆どが「開かれた学校」とは程遠く、安全という名の基に門扉を堅く閉ざして人を拒み続けているのです。勿論この学校にも門扉はありますが、その門扉たるや石柱と鉄で出来ている何とも風雅な趣きでノスタルジックな雰囲気を余計引き出させているのです。学校の運動場、二宮金次郎の銅像、銀モクセイの大きい樹、赤い屋根、似階に張り出した校長室など、どれをとっても私たちの思い出の彼方にある小学校の原風景が思い浮かんでくるような素敵な小学校なのです。
私が在職中意識的に売り出したこともあって、最近ではこの学校やホタル、水車小屋などを含めた景観が有名になって、雑誌、フイルム、テレビなど様々な角度で紹介されるようになってきました。
この学校も数年前までは負の遺産でしかありませんでした。地元からは危険校舎という名の元に鉄筋コンクリートの近代的な校舎にして欲しいと再三陳情を受けました。当時町には財政的余裕がなく何かと理由をつけて先延ばししていたのです。しかしそれが幸いして幸運にもこの木造建築物は残りました。取り立てて有名な建築家が設計したり特長があるといった建築物ではありませんが、平凡さゆえに非凡なのだと一周遅れのトップランナーとしての注目を嬉しく思うのです。
学校は木が交わって学ぶと書きます。鉄筋コンクリートの近代的な建物もいいのですが、やはり高温多湿な日本の風土から考えると木造建築は温か味のあるものです。最近はそのことが見直されて県産材を利用したりする制度も拡充され木造の公共建築物が見え始めましたが、まだまだ木材の不況は続いているようです。
雨を意識したカラフルなパラソルを子どもたちがさした風景は、何となくやらせのような感じもしますが、まあ表現力の豊かさから考えると凄いお洒落な扱いです。私は「ご自由にお持ち帰りください」と書かれているので、隣の席人にも了解を得て2冊いただき、カバンに忍ばせて持ち帰りました。
「飛行機の 中で読んでる 雑誌にも わがふるさとは 紹介されり」
「学校も 赤黄パラソル 開きたる こんな表現 面白人あり」
「下さいな 隣の席に 声を掛け 譲りし雑誌 カバンの中に」
「学校も 今は注目 されるけれど 五年前には 負の遺産だと」