○お盆の頃
私が覚えているわが家のご先祖様は祖祖父母・祖母・母の4人で、私が2歳の時の昭和21年に亡くなった祖父の顔は残念ながら覚えていません。戦後の衛生事情の悪い中、大流行した赤痢にかかって62歳で亡くなった祖父を除けばわが家は皆長寿で、80歳を越える天寿をまっとうしているのです。私は自分の生活設計の中で自分の寿命がいかほどまでなのか23歳の時推測し、その後の修正もなく85歳まで生きてやろうと思っているのです。ある人に言わせるとその人の寿命は父母の年齢を加えて2で割り、出た数字の+5が目安だといいます。その計算式で行くと父88歳(現在進行形)+母80歳=168歳÷2=84歳+5歳=89歳となります。つまり私は計算上は84歳~89歳まで生きられることになるのです。私の目標としている年齢が85歳ですから夢は可能で、健康管理さえ徹底し事故や事件に巻き込まれなければ今の親父の年齢までは生きれるのです。
「長生きをしたい」という人間の願望は誰もが持っているのでしょうが、健康でボケもせず長生きすればその願望にも意味があるのですが、寝たきりになったり認知症になってまで長生きすると周りの迷惑をかけるばかりでなく自分自身も辛いものですから、そのことを念頭に置いて長生きの秘訣を日ごろから考えた行動をしなければならないと思うのです。
私の寿命は最高に見積もっても今の親父の年齢なのですが、親父のようにボケもせず長生きができるかと思うと少々心もとない気持ちです。昨日から親父は庭の隅に小さな池を作り始めました。庭には大きくて深い池があって立派な鯉が8匹も飼われていますが、養魚場の方に鯉の赤ちゃんを多数貰ったようで、その飼育のために池を掘るというのです。「おいおい何歳まで生きるの」なんてことは言えませんし、「止めとけ」と生きがいをそぐ訳にもいかず見守るしかないと心に決めて、言われるままに少しの手伝いをしています。
今朝、妻と親父と私の3人で麻ガラを玄関先で燃やしてお盆の迎え火を焚きました。3本の麻ガラを短く折って火をつけると勢いよく燃えました。冒頭に書いた祖祖父母、祖母、母以外にも若松家の先祖は10代前を数えると1,024人、20代に遡ると1,048,576人、30代前に遡ると何と1,073,741,824人になるのです。迎え火がこんなにも多い先祖を呼ぶことは到底不可能ですが、せめて顔見知りの3代前だけでも安らかにわが家でお盆を過ごしてもらおうと、応接間に祭壇を出し、お坊さんに棚行に来てもらって、お経を唱えてもらいました。明日は夕方お弁当を持って帰るのですが、それまで妻は母から教わったわが家の仏事のしきたりに沿って、この2日間せっせと仏様のお接待をしています。「ああ日本のお盆」です。
「迎え火を 焚いてご先祖 里帰り お盆の行事 妻が受け継ぐ」
「何処となく 嬉しそうなる 父の顔 母が帰りし 仏壇拝みぬ」
「驚きぬ 十代前には 千人余 親の親親 親親親と」
「五年前 逝きし母親 今頃は 何処をどうして 旅しているか」