shin-1さんの日記

○定期演奏会に招かれて

 「えひめグリーンクラブ」という男声合唱団のメンバーの一人から先日2枚のチケットが送られてきました。「グリ-ンクラブ」と聞けば「グリーンピース」を思い出し何か環境団体のようにも感じましたが、そのチケットに添えているご案内の手紙が和紙奉書のような重みのあるものなので忙しい予定を割いて出掛けてみました。合唱も演奏というのかとの疑問も感じながら午後2時開演なので30分前に松山市民会館に行ってみると暑い昼下がりだというのにもう長蛇の列が出来ていて、既に入場が始まっていました。

顔見知りの人も何人かいて、案内状を送ってくれたメンバーの奥さんに声を掛け中ほどの席に陣取りました。この中ホールは次男が演劇の発表によく使う場所なのでお気に入りの場所が確保できた安心感とでもいうのでしょうか、見知らぬ隣の人と談笑しながら開演を待ちました。女性コーラスや児童生徒の合唱は聞いたことがありますが男性大人の合唱など聞いたこともないので興味津々です。

 やがて幕が開きそろいのスーツ姿のおじさんたちが指揮者に合わせて歌い始めました。えひめグリーンクラブ団歌のあと4部構成のプログラムに沿ってその都度進行係が解説して進んで行くのですが、一部の日本民謡はそうらん節、貝殻節、おてもやん、五木の子守唄、最上川舟歌の5曲で、知っていることもあって小さな声で口ずさみました。

 私のお目当ては二部のえひめグリsongbookで、「ハワイ沖えひめ丸海難事故鎮魂歌「希望海」と四部の男声合唱組曲「三崎のうた」でした。いずれもわが人生にダブらせた歌だけに興味がありましたが、残念ながら夏祭りのスケジュールに合わさなければならないので四部は聞かずに退席しなければなりません。二部だけは聞き漏らすまいと熱心に耳を傾けました。

 「三崎のうた」は北原白秋の詩です。水産高校の実習船愛媛丸の基地があったのは神奈川県三浦三崎でした。その湾の入口に城ヶ島があって、「城ヶ島の雨」という白秋の歌の記念碑が建っていました。白秋は三浦三崎に住んだことがるそうですが、「雨はふる ふる雨の霞がくれに ひとすじの 煙立つ 誰か生活ぞ 銀鼠にからみゆく 古代紫 その空に 城ヶ島 近く横たふ」という詩は、「城ヶ島の雨」の姉妹作ではないかと思えるほどによく似たタッチで描かれているのです

 さて「希望海」は、私に手紙とチケットを送ってくれた水産高校の先輩玉井恭介さんの作詞詩です。鎮魂歌だけあって重厚で愛媛丸乗船経験者の私には涙の出るような響きが心にしみわたりました。

 「碧き千尋のハワイ沖 若き夢のせえひめ丸 大志途上に航跡消ゆる 学園の淵辺は涙色 帰れ母校へ九つの魂 目指せ希望の 七つの海を」・・・・・・・。愛媛丸に乗船した経験者でないと表現できない言葉の数々に40数年前の珊瑚海での実習の思い出をダブらせ聞き入りました。多分こうした事故への想いも戦争と同じように風化し消えて行くのでしょうが、戦争も事故も人間の願いとしてなくす努力をしなければならないと強く心に誓いました。

  「一通の 頼り心の 窓開け わが青春を しみじみ思う」

  「朗々と 歌う母校の 鎮魂歌 心に染みて 思わず涙」

  「男性の 合唱低い 声流れ 満員聴衆 やがて拍手に」

  「白秋が 詠いし歌で 思い出す 城ヶ島辺の あの光景を」 

  

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