○植物にも血液型がある
毎日コツコツとたった一人で自宅の周りの草を引いている父親を見るとまるでアリのような働きをしています。パワーはないもののゆっくりとした作業ですが確実に家の周りは綺麗さを保っているのも親父のお陰と感謝しています。親父がアリなら私はさしずめキリギリスで、毎日毎日遊びほうけています。今朝も「今日は何処へ行くのか」と聞くものですから、「今日は何にもないから草引きを手伝う」と言いました。「ところでお前は一体何の仕事をしよるんぞ」と唐突に聞きました。私は正直言葉に詰まって、『フリーター」と答えてしまったと思いまいました。案の定「フリーターとは何ぞ」と返すのです。親父の感覚では仕事とは毎月きっちりと給料を貰って働くことを言うのでしょう。私は「講演を頼まれたり、大学へ教えに行ってる」と答えたのですが親父は「そんなことで飯が食えるのか」「心配せんでも大丈夫、繁子も勤めているから」「もう繁チャンも辞めさせてやらんと」「うんそのつもりよ」、会話は続きましたが外に出て親父と二人で中庭の除草を始めました。
外は夜来の寒波で少し肌寒い風が吹いていますが、春の日差しと労働の体温で心地よく作業をしました。しかし作業の途中で携帯が鳴るし、中から息子が「お父さん電話」などと呼ぶものですからその都度手をとられました。それでも二人で11時過ぎには粗方の作業が終わりホッと一息つきながら、親父のくれたオロナミンを飲みました。あとは引いたり削った雑草を家の隅の捨て場に持って行くだけなのですが、来客ありで結局は父の仕事となってしまいました。
ところで人間と同じように植物にも血液型があるのをご存知でしょうか。最初は私もそんなものあるかと耳を疑いましたが本当にあるのです。普通人間の血液型は抗体と赤血球を交ぜて反応させることで特定するのですが、植物の場合は植物を細かく刻んだものに血液検査に使う抗A、抗Bといった抗体を作用させどの抗体が結合するか調べる方法をとるのだそうです。大根やツバキはO型、アオキはA型、セロリはB型、ソバやバラはAB型だそうです。血も通っていないのに血液型が存在するというのは不思議な話ですね。じつは植物には糖タンパク質という物質が含まれていて、これが血液の凝固を起す性質を持っているから、検査をすれば人間の血液と同じような反応が起きるという訳です。ただし植物の血液型はあくまでも検査による反応が起こるだけのものだそうです。
ある殺人事件で現場の血痕のついていない枕からAB型の反応が見つかったそうです。実はこの枕の中のソバ殻がAB型の血液型と同じ反応を起こしたためで、あわやミステリーとなるところでした。
「親父アリ 俺キリギリス 仕事ぶり 結局アリが 仕事を成就」
「植物に 血液型が あるなんて 知らぬ存ぜぬ 私はセロリ」
「春来たと 草が芽を出す 家周り 親父毎日 草取り仕事」
「柔らかい 葉っぱ唇 押し当てて 草笛涼し ウグイス相槌」