○この寒海に泳ぐ人
昨日のことです。シーサイド公園のベンチに座ってゆっくり海を見ていると、何やら海面をゆっくりと動くものを見つけました。もしや世間を騒がせているひげアザラシでは?と思ったのですが、それは紛れもなく人間でした。全身赤い水泳用のスーツに身をまとったその人は、急ぐでもなく400メートルの海面を波に漂うように泳いでいました。
そのうち砂浜に上がったので様子を見に行ってみると、知人だったので二度びっくりしました。彼はトライアスロンの名手です。夏になると毎年中島で開かれるトライアスロン大会に出場して好成績を挙げていましたが、さすがに年を経た今では衰えたのか他の人のパワーがアップしたのか分かりませんが、好成績には至っていないようです。
向こうは寒い海の中でも平気で泳ぐ達人ですが、こちらは寒風にブルブルの弱者、短い話に終わってしまいましたが、彼のひたむきな姿にある種の感動を覚えました。トライアスロンといえば鉄人レースの異名を取るほどの激しいスポーツです。泳ぎ、自転車に乗り、マラソンをする、しかも炎天下の過酷な条件ですから、自らの体力限界への挑戦なのです。見た目の格好よさとは裏腹なこんなスポーツを志す人の、ひたむきな鍛錬の姿は余り報道されることも見る機会もありませんが、寒い海で鍛える姿に心からなる大きな拍手を送りました。
人は人知れず陰徳を積むものです。中には陰徳が報われない人もいますし、生まれた時から強運の人もいます。でも殆どの人は陰徳を積んでいるのです。、大相撲横砂朝青龍が7連覇を遂げ年間84勝の最多勝、年間6場所完全制覇など数々の大記録を打ち立てましたが、周りは外国人への偏見や日本人の弱さを論じて、朝青龍への賛辞を忘れがちです。言葉も通じない慣れない国へ来てひたむきに勝ち得た記録は賞賛に値します。行司さんの定年退職に対し、自分の相撲が終わっても花道裏で花束と懸賞金の一部を手渡すあたりの気配りは、並の人では出来ないことだと思いました。
「報われる当ても無いけど黙々とただひたすらに波間漂う」
「ヒーローになりたいけれど練習は嫌という人なれないヒーロー」
「君たちのなりたいものは何ですか殆ど子どもはサッカー選手」
「裏山にたった一つの木守柿秋を演出主演賞」