shin-1さんの日記

○雲海を見に行く

 日本の各地には自慢できる様々な自然現象があります。私の町の夕日がそうであるように、隣の長浜町(現大洲市)ではこの頃(晩秋)「あらせ」と呼ぶ朝もやが出て市街地を濃い霧で包みます。また同じ大洲市柳沢ですが寒くなった晩秋から初冬にかけて雲海が発生します。いずれもそこに住む人にとっては厄介者とされてきましたが、見方を変えれば「ひょっとして、これも観光資源になるのでは」と思うのは無理からぬ発想といえるでしょう。だって隣の双海町では何処にでもある夕日でさえ地域資源として生かして、成果を上げているのですから・・・・・・。

 そこで彼らはこれら霧のデーター集めを始めました。去年は、一昨年はと遡って調べてみると、最もよく見える時期が段々特定されて行ったのです。そこで考えたのが初発生の日を当てるクイズです。賞金を用意すれば誰もが関心を持ってくれるだろうと新聞に広告を出しました。まあこのアイディアもそれなりの効果を上げたようです。

 次はいよいよその現象が見える場所の特定と場所の整備です。長浜町では一望できる山の上に行政が嵐公園を整備し、柳沢でも展望台を作りました。結果は?と聞かれるのですが、皆さんはどう思うでしょう。

 このあらせと雲海には大きな欠点が二つありました。一つは特定されたこの場所が道が狭く不便で中々一般の人には馴染めないという事実と、日本人特に車に乗って見に来るであろう若い人の生活リズムが、朝型から夜型になっているという点でした。長浜町も柳沢も残念ながら地元の期待以上の成果を上げることは出来なかったし、今もそのことが重荷になっています。特に長浜町は折角投資した嵐公園に人が来ず、厳しい批判を受けました。しかし雲海展望所は少し違った経緯を辿っているようです。

 雲海展望所を造ろうと考えた「木・林・森夢倶楽部」(ひふみ会ともいう)の皆さんは、その展望所を無謀にも自分たちの力で造ろうと思い立ちました。様々な情報を集め宝くじ助成金や地元の寄付金、自己負担金を捻出しながら、勤労奉仕を続け見事に完成させました。

 昨晩「前夜祭をやるからぜひ参加を」という連絡を受け眠い目をこすりながら出掛けて行きました。聞いてはいたけどここまでやれるかと思わせる立派な施設が整備されていました。雲海展望所名物のイノシシ鍋も準備着々でした。酒を酌み交わすこの指止まれの仲間集団を見て、これぞ地域づくりだと思いました。彼らにとって雲海が出る出ないは二の次、自然の贈り物だから仕方がないと自然の力に畏敬の念を抱いていました。要は雲海を通して地域が元気になったのです。

 会長の平谷さんは私のフロンティア塾の塾生として足繁く塾に通い、交流によって多くのことを学びながら自分のスキルを高めてきました。私は平谷さんのような自立する人間を育てるために塾を開いたのですから、これ以上の喜びはありません。平谷さんにフロンティア塾の優等賞を贈りたいと思うのです。

 風呂も造りたい、花も植えたいと夢を語る平谷さんたち夢倶楽部の人たちに心を暖められ、雲海を見ることもなく未明の山道を一人帰りました。雲海が見れるといいね。

  「雲海を肴に雲海(焼酎)飲む仲間造りし館明かり煌々」

  「狸猫猪までも道案内深夜の山道向こうに灯かりが」

  「想いとは凄いものですこの館みんなの力で花に実がなり」

  「結局は気兼ねせずとも飲める場所造りたかっただけじゃないのか」

 

 

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