○妻の金魚の糞
このところ、妻と出歩く機会が多くなりました。多くなったと言っても普通の夫婦に比べたら少ない方だと妻は言うのですが、私にとっては35年間の結婚生活でこれほど一緒に出歩くことはなかったため、何かしら人の目が気になって面映い気持ちです。昨日今日と高知県へ講演に行く機会があったので、先方もよく知っている方々ばかりなので、先方の了解を得て一緒に出掛けました。
高速道路を走って高知県南国インターで降り、そこから国道55号線を通って奈半利町へ着いたのは午後5時頃でした。折りしも綺麗で真赤な夕日が海に沈む時間と重なり、黒潮鉄道終着駅のデッキからドラマチックな天体ショーを鑑賞することができました。勿論妻も「綺麗ねえー」と相槌を打っていました。
私が講演中妻は隣の会場で誘われるまま友人夫婦の詩吟と吟舞の発表会を見学していましたが、友人たちとの夜なべ談義に合流し皿鉢料理を食べながら楽しいおしゃべりをし、宿舎のホテルへ11時頃入りました。明くる日は早起きして室戸岬の札所にお参りし、高知市の日曜市で買い物をして、もみじに染まる国道33号線を帰って来ました。
まあこんな具合で、急ぎもせずのんびりと二人だけの休日を楽しみましたが、世の中は狭いもので行く先々知り人にあい、「何と珍しい奥様とご一緒ですか」と皮肉られる始末です。妻の買った品物を持ってぞろぞろ後をついて歩くのは嫌だと思っていたのに、今日はそんな風な一日でした。
それにしても妻はよく買うしよく食べてました。これが女性の元気の秘密かと思わせるように・・・・。お蔭様で帰る頃には腹も満杯、トランクの中も満杯になりました。
私は2時間の講演と妻のアッシー君、それに荷物持ちとまるで妻の金魚の糞の2日間でしたが、妻は「お父さん今日は楽しかった」と満足そうに言うのです。私が相槌を打とうものならまたこの次も「私を旅行に連れてって」てなことになるに決まっています。「少し頭を冷やして考えてみる」とその場の会話を打ち切りました。ここだけの話ですが一人で行くより数倍疲れた二日間でした。