shin-1さんの日記

投稿者: | 2007年5月11日

○自然回帰志向

 日本の人口は減少傾向にあって、私が死んでいないであろう50年後には1億人を割り9800万人になると予測されています。地球上では日本のように人口減少傾向にある国もあれば人口爆発といわれる増加傾向の国もあって、全体的には増加の一途をたどって、近い将来食糧問題が深刻との予測も出ています。都市と地方の人口問題では抱える悩みが違います。地方の人口減少は加速され、北海道などでは今でさえ市町村の9割以上が1万人以下の小さな自治体であり、たとえ合併をして一時的に人口が増えたような錯覚を覚えても、端々には限界集落というのが幾つもあって、自治省の推計によるとこれから10年間で日本全国では1600もの集落が消えるかも知れないと予測されているのです。私たちが子どもの頃から始まった過疎と過密という現象は過疎対策法などの効果も出ないまま現在も緩やかに、時には激しく続いているのです。

 しかしこうした地方が長年抱えてきた過疎化や高齢化は、一見過密と思われる都会にも知らず知らずのうちに忍び寄っていたのです。都市は今数多くの高齢者と単身世帯という両極端が暮らす悩み多い地域なのです。高齢者や若者を合算した人口を高齢者の数で割るとその地域の高齢化率が出てきます。若者の数が多い都会では高齢化率は一見低いように見えますが、これは数字のまやかしで、ニュータウンなどともてはやされた尊工住宅団地などでは深刻な高齢化が進みゴーストタウンになるのではないかと危惧する人もいるほどです。地方と都市という質の違う悩みを持った両極が今後均衡ある地域を形成してゆくには、交流がキーワードになることは間違いのないことだと思うのです。

 最近そうした動きが活発になってきました。人口減少に悩む地方では団塊の世代のリタイアに目を付けて「帰ってこいよ」と盛んにラブコールを送っているのです。中には農地農家付きでという間合い誘惑もあって、団塊の世代の人の心情をくすぐっています。団塊の世代の人は元をたどれば田舎出身者です。集団就職列車に乗せられて暗くて貧しい貧乏から開放されたい一心でお上りの人となりました。多分心の奥底にはふるさと回帰のような心がくすぶっていて、「いつか俺も出世をして郷土に錦を飾りたい」という思いで頑張ってきたに違いないのです。でも40年という時の流れは地方も都市も一変させました。ましてや都会で知り合った相手たる妻は都会の便利な暮らしにどっぷり漬かり、夫のそうした心の底に流れる「ふるさと回帰志向」など考えもせず、「ふるさとへ帰り人生を終えたい」言い出そうものなら「どうぞお一人で」となってしまうのです。折りしも年金分割という新たな印籠を貰った妻の鼻息は荒く、結局は終の棲家で一人寂しく都会での満ち足らない暮らしをしながら一生を終わるのです。

 定年→帰農は果たして地方が言ってるほど魅力的なのか、地方の側から言わせればそんなに生やさしいものではないのです。田舎には住むに必要な一定のルールのようなものがあってライフラインといわれる水も道も、コミュニティ活動も全て役割分担しながら汗をかかなければなりません。都会では自分が汗をかかなくてもお金で全て解決していたのに、汗などかいたこともない人にとってそれは封建的な古い因習やしがらみだと思うに違いないのです。まずここでボタンを掛け違うと、「こんなはずではなかった」という信頼関係が損なわれてしまうのです。都会の人は何でも権利だと主張します。田舎は何でも義務だと言い張ります。権利と義務、たった4文字の間に入った「と」がとてつもなく深い意味を持っているのです。

 最近はそういう時代を反映してか、私の元へは沢山の自然回帰志向の人が相談にやって来ます。人間牧場を見てその構想や施設の数々に感動するのですが、これを日々の暮しや今後の人生にダブらせて考えると大変な誤解を生じるのです。田舎暮らしの大原則は「車に乗れて夫婦が長生き、地域とともに」が大前提なのです。景色の良い所は必ず不便です。公共交通機関の発達していない田舎は車がないと身動きがとれません。夫婦のどちらかがなくなれば完全にリタイア組みは独居老人です。最後は老人ホームなどでお世話にならなければならないのです。地域も金持で他所から来た人ですから最初は優しくしてくれますが、毎日優しくする訳にもいきませんから普通の人になって役割を押し付けるのです。

 まあたった一度の人生ですから自分がどう生きたいのか、生活設計を立ててしっかりと覚悟を決め生きることでしょう。

 先日やって来た夫婦にきついそんな話をしてあげました。するとすっかりメル友となってあれやこれやの交流が始まりました。最近はわが家へ夫婦でやって来てすっかり親戚気取りの都会人がいます。高い航空券を夫婦で買ってこんな田舎へ何をしに?」と妻は不思議がりますが、まあこれも交流でしょう。

  「住みたいと 田舎志向の 人ありて 冷遇するも またやって来る」

  「田舎住み たまに東京 いい気分 こんな贅沢 俺しかできぬ」

  「パソコンが 田舎暮しに 魅力増す 情報あれば こっちのもんだ」

  「鳥かごで 一生終わる 馬鹿もいる 俺など自由 大空大地」 


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