shin-1さんの日記

○異動の季節に移動する

 誰がどこで決めるかさえも分らないたった一枚の紙切れによる人事異動の季節がやって来ました。このところの地元紙は「そんなに記事がないの?」とか「役所の異動がそんなに重要なの?」と想うほど、これでもかといわんばかりに紙面の大半を割いて異動を報じています。私のように全県下に知人友人がいれば別ですが、伊予市に住む人たちにとって四国中央市や愛南町の人事異動の記事など何の関係もないのです。多分新聞社内部にもこんな紙面づくりで果たして良いのかと異議を唱える人も多いのでしょうが前例踏襲とは面白いものです。

 今年も異動の季節がやって来ました。異動しなかった人たちは異動した人たちの送別会をしなければならず、たった一日なのに4月1日後以降の新年度にはまた歓迎会と称する飲み会を、異動した人の分まで異動しなかった人が被ってやらなければならないのです。自分が異動した時もやってもらうのですからお互い様なのでしょうが、このところ飲み屋に少し異変が起きているようです。それは合併によって中央となった地域と支所になった地域の差なのです。中央となった地域の飲み屋は息を吹き返しつつあります。これまでの異動は小規模だったため、内示が出ると酒飲み会につきまとう煩わしさを避けて近隣の街で送別会をしていましたが、合併によって様変わりしたため地元志向が強くなって「空いていたら何処でもいいわ」てな調子で、地元の小さな飲み屋での送別会と相成るのです。飲み屋の女将さんが「合併して良かった」と言うように合併のメリットはここら辺にも現れています。ところが支所化した地域ではいつもの年の年度街には大小の宴会が入っていたのに、合併後は役場の職員数がまるで10分の1になった雰囲気で、早々と暖簾をたたむお店も出てきたのです。「合併してさっぱりだ」と嘆く人の苦悩は大変なもののようです。

 昨日は伊予市で珍しい参加者手出し、いわゆる会費性の珍しい送別会に出席しました。えひめ地域政策研究センターに出向している研究員の送別会なのです。2年間もお世話になった方々なので送別会をと思っていたのですが、酒を飲まなくなった私には敷居が高くその時期を逸してしまいました。でも心ある親友の門田さんや岡崎さんの計らいで小さいながら送別会が持てました。兵頭さんは旧津島町から、脇田さんは旧内海村から、河井さんは大洲市からそれぞれ出向して2年間の仕事を終え、それぞれ合併してなくなった旧町村へは帰ることができず、新しい町へ帰るのです。

 本来いるべき場所へ帰る喜びと、2年間の貴重な体験をした職場から去る寂しさの交錯する複雑な心境を吐露しながら終電車に遅れそうになるほど、飲むほどに酔うほどに楽しい弾んだ話をして過ごしました。

 この日は先日の内示発令でセンターへ出向することが決まった松本さんも参加して、歓送迎会のような雰囲気でした。松本さんは私が教育長をしていたころ同じ教育委員会で仕事をした心許せる人だけに内心はとても嬉しく、しかも私が代表を務めているえひめ地域づくり研究会議の事務局も兵頭さんから引き継ぐとあって、万々歳なのです。

 35年間に教育委員会から産業課へ、産業課から企画調整室へ、企画調整室から地域振興課へ、地域振興課から教育長へと35年間に僅か4回しか人事異動せず、しかも異動といっても1階から2階へ、左から右へ机を動かす程度の私の移動でした。彼らは合併という時代の流れに翻弄されながらも、また市町村職員でありながら出向という異動でそれぞれの拠点を離れ県庁所在地の松山で2年間を過ごしました。この何ものにも変え難い経験を生かして、いい仕事をするいい職員であって欲しいと願っています。

 異動の記事の尻切れに退職という欄があります。これまでは部長や課長など常にトップ近くの記事に扱われていた方々が、この記事を最後に退職されます。かつて仲間として同じような仕事をしてきた方々が退職です。虫眼鏡でしか発見できないような片隅の小さな名前に人生を感じます。彼らの中には天下りや再就職先が決まっている人もいるでしょう。私のようにあえて自由人を選ぶ人もいるかも知れません。でも職場での人生ドラマはもう終わったと自覚して、一日も早く自立ある自分本来の人生を取り戻して生きれるか、その後の生き方が問われています。

  「内示出て 異動が移動を 強いられる 夢や失望 人それぞれに」

  「2年間 ご苦労様と 酒を注ぎ 矢のよう過ぎた 日々を反芻」

  「年度末 酒屋と飲み屋 忙しい 一方客足 遠のく店も」

  「送別会 嬉しい悲鳴と 女将言う 光と影が 見え隠れしつ」  

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“shin-1さんの日記” への1件の返信

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     松山組は、無事電車に間に合いました。
     昨日は忙しいなかどうも。
     伊予市での居酒屋体験もいいのではと。
     しかし言われるように合併で歓送迎会も゛中心市゛に集中するよね。双海も中山も飲み屋に閑古鳥が鳴いている・・。町長・議員・職員が一番のお客だったから。私は、できるだけ松山でなく地元の、見せ掛けでない゛いい店゛をと心掛けてはいますが。
    とにかく若い彼らの活躍を見守りましょう。
    ごくろうさまでした。
    (今日の新聞に話題のコーちゃんが出てましたが、それでも役を降りるのでしょうかねえ)

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