人間牧場

〇大事な落し物

 先週の土曜日は人間牧場で餅つきと年輪塾の学習会がありました。ゆえに朝から大忙しの一日でしたが、その日に娘の家が新築のための地鎮祭をすることになり、輪をかけて移動にも時間がかかり、餅つきの後片付けをするのに人間牧場へ再び帰ったのは、辺りがすっかり暗くなった午後5時過ぎでした。妻に手伝ってもらいとりあえず軽四トラックに細々の小道具を車に積み込み、パック詰めしたお餅を日ごろお世話になっている皆さんに40軒も配り、やっと9時前に自宅へ帰りました。

 自宅の入口で灘奥から走って来たパトカーとすれ違いました。荷物を下ろしたところで、本能的に着ていたジャンバーのポケットに手を突っ込みましたが、免許証が入っていないことに気がつきました。車の中や持ち物など紛れ込んでいるかも知れないと、何度探しても見つかりませんでした。「弱った。どうしよう」と思いながら自分の夕方からの足取りを思い出しましたが、人間牧場の入口付近の路上で、ポケットに入れてていたデジカメが滑り落ちて拾った記憶が蘇えり、「ひょっとしたらあの時かも?」と思い始め、いても立ってもいられなくなりました。

 「人間牧場へこれから探しに行く」と言う私を、妻は「山道は危ないから明日にしたら!!」と止めましたが、「その日のことはその日に」と、イノシシでも出そうな暗い夜の山道を人間牧場まで引き返し、持って行った大きい懐中電灯で照らしながら探しました。この時期の山道はかなりの落ち葉が落ちていて、風でも吹いたら落ち葉の下に埋もれてしまうので、トラックのヘッドライトもつけて探しました。カメラを落として拾った記憶の場所に免許証は運よく落ちていて、安堵の胸を撫で下ろしました。

 「ハ・ト・ガ・マ・メ・ク・テ・パー・パー」とは、私が外出する時の確認事項です。ハ=ハンカチ、ト=時計、ガ=がまぐち(財布)、メ=免許証・・・・などですが、車を運転する時免許証は当然必携なのです。時々免許証をどこへ置いたか置き忘れて探すことがありますが、携帯電話のように着信音で探すことも出来ず、出掛けの忙しい時に限って右往左往するのです。ラッキーにも遠い人間牧場の夜道で見つかったことを拳拳服膺し、二度とこのようなことがないようにしようと、自分自身の心に誓いました。10時過ぎ自宅に戻って長い一日はやっと終りました。

  「家の前 パトカー見えて 大慌て どこへ置いたか 右往左往す」

  「デジカメを 落とした時に 免許証 ひょっとしたらと いても立っても」

  「牧場へ 一人夜道を 引き返す 懐中電灯 頼りに探す」

  「免許証 落ち葉の上に 鎮座して 私来るのを 待ってるように」

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