〇いっぷく亭での講演
昨日は講演先の栃木県から帰郷して間もなく、身支度を整え直して伊予市内にあるいっぷく亭へ出かけました。商業協同組合の徳本さんから、「一年に春夏秋冬と4回、皆さんの前で講演して欲しい」と頼まれたのは一年前のことです。同じ人を相手に四回も講演するほど、ネタが豊富な訳でもありませんが、「まあ4回ぐらいなら何とか」と気安く引き受けたものの、さてどうしようかと忙しさにかまけて、毎回講演の準備も殆んどしないまま、思いつくままに話を続けてきました。今回も当日まで栃木県へ出張していたこともあって、まったく準備もできていませんでした。出かける時妻から、「今日は何について講演するの?」と問われ、ふと我に返ってしまいました。
いっぷく亭で講演すると、毎回何がしかのお礼をいただくのも気になっていたので、最後くらいはお返しがしたいと思っていたものですから、出掛けの急な思いつきで、最近自費出版した「夕日徒然草・空の書」を皆さんに差し上げようと思いました。私はこれまで自費出版した本を、人に差し上げることは余程でない限りしていません。というのも地の書・水の書・火の書・風の書・空の書と連番で出版した本は、販売した費用を回収しないと、次の本を自費出版できないからなのです。目論見どおり資金を回収し、5年間で何とか最終章空の書の出版まで漕ぎつけたのです。それでも今回だけは別だと決断し、参加が予想される人数を30人くらいと予想し、車に積んで出かけました。
ところが集まった人数は五十人近くで、差し上げようと思って持参した夕日徒然草が足らなくなり、すっかり恥をかいてしまいました。それでも「隣近所の席通しで見てください」とお願いし、早速いっぷく亭満席札止めの中で、落伍調講演は5分前に始まりました。昨日は「夕日徒然草・空の書」をまるで読み聞かせのように読みながら、注釈をつけて話しました。空の書には30話+2話=32話が納められています。とりあえず片っ端から少し早口で読み始めましたが、落伍のネタ本なので皆さんには大いに笑っていただき、自分で言うのもおこがましいのですが、今回のテーマ「生きる力」も、前回のテーマ「笑いの力」と違った出来栄えのようで、反応は最高に良かったと思いました。
講演が終わりやれやれこれで徳本さんとの約束が果たせたと思いきや、皆さんから「もう一回残っている」とリクエストがあったのです。空の書はまだ半分も読み解いていないので、「それでは宜しければ次もやりますか!。徳本さんとその辺を相談してください」と言ってお暇しました。
それにしてもいっぷく亭での私の話が、こうも受けるとは思っても見ませんでした。ファンが増え私の話を楽しみにして来ていただくことは、嬉しいことに違いはありませんが、これも中々骨の折れる仕事なのです。そんなわがままな思いに浸りつつ余韻を楽しんでいます。
「同じ場所 同じ人前 四回も 話す度胸は 読経みたいで」
「いい話 だった次回も 楽しみに している旨の 葉書届いて」
「今回は お返ししよう そう思い 自著本提げて 乗り込みました」
「もう一回 来てお話を して下さい 燃え尽きたのに 火種残して」