○牧場や夏雲湧いて草を刈る
今年の夏は猛暑日が続く地域や、短時間にスコールのような雨に見舞われる地域もあって、どうやら異常気象のようです。人間は勝手なもので、梅雨末期で雨が長引けばもう雨は要らないといい、一週間も天気が続いて畑が乾き始めると一雨欲しいと天に祈るのです。私などはもっと勝手で、梅干の土用干しをしている今だけでも、そしてわが家だけでも雨は欲しくないと思うのです。
海沿いに面したわが町も、今年は少し様子が違うようで、例年だとかなりの人が詰め掛けるシーサイド公園の海水浴場も、山沿いを走る高速道路無料化実験コースを例年の2倍近くの車が走るため、何処となく人の数が少なくなったような気がするのです。有料の時は走らなかった車が無料になった途端に走り出す、これも身勝手の最たるもので、政府は無料化実験事業などと言葉を並べていますが、タダになればタダを求める人が走る原理原則は大袈裟なことをいわなくても、子どもにだって分かる理論なのです。
はてさて、先日八幡浜日土のあらし山山荘で開いた年輪塾を終え、早朝解散だったこともあって一日スケジュールが空いていたので、「寝てないのだから止めた方がいい」と妻の止めるのも聞かず久しぶりに人間牧場へ草刈に出かけました。いつの間にか樹林から賑やかなせみの鳴き声が聞こえるようになっていました。ふと見上げるとまだ7月だというのにトンボも飛んでいました。ススキも青々とした葉を繁らせ、子どもたちの植えた芋づるもしっかりと根を張って伸びています。
草刈機にいっぱい混合油を給油して、エンジンをいっぱい吹かせて草を刈って行きます。人間牧場の草刈は殆どが斜面なので下手をすると足元をすくわれて転びます。ゆえに気を使うため夏の草刈は、まるでサウナ風呂に入ったように汗が吹き出てきます。連続1時間が限度なので、その都度日陰を選んで冷蔵庫から取り出した冷たいお茶を、熱中症になったら大変と思い切り飲みます。その美味しいこと美味しいこと。生きているって感じで飲み干すのです。
時には日陰のあるウッドデッキに寝転んで真っ青な海や空を見ます。無の境地で海を見ると魚影が、空を見るとモクモクと入道雲が湧いています。魚も雲もまるで今の自分と同じ自由を謳歌しているように思えました。ついウトウトすることもしばしばです。時には疲れて午睡ほど浅い睡魔に襲われることだってあるのですが、誰はばかることもなく趣くままに時間を過ごせる幸せを時々感じるのです。
「明日があるさ明日がある」、歌の文句ではありませんが半日程度の作業でも随分綺麗に草が枯れました。この日は少し頑張ったので、あと一日も刈れば草刈は終了です。このところ人間牧場を訪ねる人が多くなったこともあって、小まめに草刈をしていたため伸びてはいますが草丈も低く、全て順調です。
この日は思い切って風呂を沸かし、一人ロケ風呂を楽しみました。いいお湯加減でした。
「蝉が鳴く 海は魚群が ざわついて 夏が来たぞと 俺に知らせる」
「夏空の 蒼に映えたる 白き雲 湧き立つように モクモク高く」
「喉干して ゴクリゴクリと お茶を飲む 力得たよに 再び草を」
「ウトウトと ついウトウトと 転寝す 自由な暮らし 幸せ感じ」