○底引き網漁体験は大漁でした②
1時間半ばかり下灘沖合いから伊予市沖合いまで網を引きました。時折向井幸男船長さんとエンジン音を意識てかなり高いトーンで話し合いました。最近の漁獲状況、漁船の魚群探知機やレーダー、自動操舵装置の話、改定の状況などなど、色々な話が聞けました。私もかつて40年前に漁師をして漁船に乗って漁をしていましたが、当時とは何もかにもが雲泥の差なのです。
そうこうしている内に僚船から携帯電話が入りました。かつてのような無線連絡はすっかり影を潜め今は盗聴も出来ない携帯連絡のようでした。さあ網揚げです。船上に期待と危険の緊張が再び走りました。
私たちが乗せてもらった向井さんの船は一人乗りなので、合羽ズボンを履いた船長さんはプッシュボタンやハンドル操作で一人何役も器用にこなし、どんどん網がドラムに巻かれ引き上げられて行きました。そのうち網が上がると、大きな鯛が小魚に混じって見えてきました。水深26メートルほどの海底でさっきまで泳いでいたであろう魚たちは文字通り一網打尽されて引き上げられました。
引き上げられた袋網の網口糸が開放されると、中から勢いよく鯛や小魚が飛び出してきて、子どもたちから大きな歓声が起りました。船長さんの指示に従って私が籠に入れられた魚を生簀まで運び入れるのです。大きい真鯛が4匹、これまた大きい柳鯛が2匹、そしてオニオコゼが20匹と大漁でした。
船長さんは赤エイの尻尾を起用に鋏で切り、これも生簀へ運びました。危険でなくなったので子どもたちは歓声を上げながら選別を始めましたが、下を向いて魚を選別すると子どもたちは必ずと言ってよいほど船酔いが始まります。案の定全員が船酔いしてしまいダウンです。
雲行きが怪しくなったので操業は1回で終了し港を目指して寄港し始めました。船長さんは網を洗ったり船を片付けたり何かと忙しく働いていましたが、子どもたちはビニールシートの上でごロリ横になって夢心地でした。
港に船を係留し陸に上がってやっと子どもたちは正気を取り戻した格好でした。漁獲した魚はすべていただいて出迎えに来た宮栄公民館長のトラックに積み込み、市役所支所の裏の集会場へ運んで、早速海鮮バーベキューの準備をしました。事務局の用意した包丁類は少しお粗末なため、私は自宅に帰り愛用のウロコ取りと出刃包丁を持参し、真鯛、スズキ、柳鯛、太刀魚などを刺身にしました。50人もの人が食べる料理ですからその量も半端ではなく、悪戦苦闘しました。折から降り出した雨の中で調理を行い、おにぎりだけを持参した子どもたちは海鮮料理に舌鼓を打ちました。
「大漁の 魚を前に 歓声が しかし子どもは 直ぐに船酔い」
「美味しいね 食べる食べる 手作りの 海鮮料理 みんな満足」
「愛用の 包丁持ち込み 料理する おだてに乗って 得意顔する」
「さっきまで 船酔いしたとは 思えない さすが子どもは 元気一番」