○見果てぬ夢を語り合う
先日松山の温泉でギノー味噌の田中社長に会いました。社長は若いがしっかり者で、先代から引き継いだ味噌の会社を引っ張り、さつまやドレッシングなど地産地消などにも積極的にかかわり商品開発をしていて、時々新聞や雑誌にその斬新さが取り上げられているのです。何年か前に研修会でお会いしてから出会いの頻度が高くなり、時々出会って意見交換などをしているのです。田中社長も私も無類の温泉好きで不思議なことに温泉で意外な時に出会うのです。その度にサウナの中で汗をかきながら特産品開発の話をするのですから、可笑しいといえば可笑しな話です。
「社長さん、私最近人間牧場へかまど小屋を造りよるんよ」。「えっ、かまど小屋、それ何?」「薪で炊いたご飯が食べたくてなあ」「白いご飯なら味噌汁と漬物が会いますなあ」と、会話は自然と味噌の方に引っ張られて行くのです。「かまどはいつごろできますか?」「そうじゃなあ、8月いっぱいで目鼻がつくと思いますが」「一度お伺いしましょうか」てな調子でトントン拍子に話が進み、一昨日社長から電話がかかり昨日の3時半の約束でシーサイド公園で待ち合わせをして人間牧場へ出かけたのです。
おおよその話は温泉で話していたので、社長は早速自社の味噌と漬物の元を持参してくれました。それから二人は1時間余り他愛のない商品開発の話に花を咲かせました。社長はいつも私の話に熱心に耳を傾け、メモを取っては実践をします。時には社員や奥さんを交えて飯を食べながらお話するのですが、その甲斐あってこんな不況な時代でも前年を上回る売り上げを記録しているのですから立派というほかはありません。
ギノー味噌は本社工場を建設中で、これを機に発展したいと意気込んでいるようですが、若い社員と四つに組んでの新しいことへの挑戦は必ずや成果が上がるものと思われます。私が仲介した大分県大山町の梅ドレッシングも好調なようであり、愛媛県内の地産をテーマに掲げて地域づくりのお役に立ちたいという社長の意気込みを、今後も少しでも支援したいと思っているのです。
社長の理想は先代から引き継いだ麦みそ文化の伝承なのですが、最近の若い人は日本の食文化の原点である白いご飯と味噌汁に漬物といった食生活さえも捨て去ろうとしています。そういう意味では今回のかまど小屋の建設は食文化再興のきっかけになるかもしれないと思いました。社長は麹で作った漬物の素でニンジンや大根、キウリの即席漬けを試作して持ってきてくれました。早速二人で漬物をバリバリと食べながら見果てぬ夢を大いに話し合いました。
昨日は社長の来牧に合わせるようにかまど小屋に建具やガラスが入り、大まかな全容が見え始めました。設計をした息子の基本コンセプトを理解できない落差を感じながらも、社長にかまど小屋の夢を見せたり語ったりしました。
(かまど小屋入口の格子戸)
もう間もなくおくどの築炉工事も左官さんによって始まります。ここからどんな夢が広がって行くのでしょう。人間は夢を見るから楽しいのです。そしてその夢を実現できたらこれほど充実した人生はありません。私の好きなポール・J・マイヤーは「鮮やかに想像し、熱烈に望み、心から信じ、魂を込めた熱意をもって行動すれば何事も実現する」という言葉を残しています。今は鮮やかな創造と熱烈に臨んで行動していますが、多分その言葉通り夢は間もなく実現します。私は今が旬、田中社長はもっともっと旬な男で、ワクワク・ドキドキの毎日です。
「今が旬 そんな生き方 願いつつ 今日も夢見た ことを実践」
「古人いう 夢なき民は 滅びると 坂の上湧く 雲を見つめて」
「ささやかな 小さな夢でも 楽しくて 今日より明日 進化の跡が」
「少しずつ 息子の描く 設計図 見えてきそうな 雰囲気なりぬ」