○社会教育主事講習
もう30年近くも前の夏、私は社会教育主事の講習を受けるため香川大学に一ヶ月間通いました。通ったといっても当時は高速道路などない時代だったので、愛媛県内から出かけた人たちと安いホテルに一ヶ月間滞在し、そこから毎朝大学に通いました。高校しか出ていない私にとって大学での受講は始めてで、少し緊張気味で受講したことを覚えています。その年は全国的に異常渇水で、特にこれといった川のない香川県では生活水がそこをつき、高松砂漠と悪評を叩かれるほどでした。渇水で干上がった満濃池で死体が上がり、満濃池殺人事件などとまるで火曜サスペンスのような話も話題になりました。
しかし私にとってこの一ヶ月間は家庭を離れふるさとを離れ、職場をも離れる寂しさはあっても自由を謳歌できる喜びでとてもいい経験をしたものです。あの時一緒に受講した県内の友人たちの殆どは既にリタイアし、時の流れの早さをしみじみと感じるのです。
社会教育主事講習は四国4県の大学が持ち回りで行いまるでオリンピックのように4年に一度愛媛県に担当が回ってくるのです。今年も今週から愛媛大学で講習会が約1ヶ月に渡って始まりました。二ヶ月前に大学から講義依頼がありました。私の担当は生涯学習概論の社会教育主事の役割です。私に与えられた時間は4時間ですが、実際には休憩を挟むので実労時間は少し減るようですが、それでも4時間弱は話す方も聞く方もかなりハードな講義です。
私はレジメが嫌いなたちで、普通はレジ目を用意しないのです。それでも大学から再三のレジメ提出要請に負けてレジメを提出しました。しかしそのことをすっかり忘れ、また自分が手持ちしている資料をすっかり忘れて行き多少慌てましたが、少し早めに大学へ到着していたので車内でメモを用意して望みました。
会場は教育学部の教棟で冷房のよく効いた部屋が用意されていました。送られていた資料を忘れたため右往左往していると県の生涯学習課長さんとばったり出会い、わざわざ控え室まで連れて行っていただきました。大学の先生たちとも面談しいよいよ講義が始まりましたが、会場には知り人が沢山いて、面映い感じもしましたがすんなりと話を始めました。
前段を私の人生を変えた社会教育を巡る出来事、中断を社会教育を巡る時代を読む、後段を社会教育主事の役割くらいな感じで話しました。特に前段は少し力を入れて話しましたが中身は概ね以下の通りでした。
①青年団8年間の活動(仲間・主張・ふるさと・感動という四つの道具)(インリーダーとアウトリーダー)
②公民館・社会教育13年(日本一の公民館主事を目指す・県公連主事部会長として)
③私設公民館設置34年(青年の溜まり場・21世紀えひめニューフロンティアグループの活動・フロンティア塾)
④町の広報10年間で240号発行(書く・記録を残す)
⑤結婚披露宴司会537組の偉業(司会術・アイディア・プロデュース術・暮らしを守る生活改善運動)
⑥人づくり10年計画(日本一体験国内研修事業―後の人づくり10年計画を産む)
⑦町名変更問題(地方自治とは何か)
⑧青年の船(地図の真ん中に日本がない世界地図)
⑨夕日によるまちづくり
⑩人間牧場構想の実現
まあ車の中で僅か10分で考えたストーリーにせよ、自分らしい話だったと納得しながら話しを終りました。結局用意し、大学がコピー配布してくれたレジメは最後まで使うこともなく、また用意したスライドショーをする間もなく終ったことを終った今多少後悔しているのです。
「租借して 生かして欲しい 願いつつ 生き様語り お茶を濁して」
「若き頃 どんな気持ちで 聞いたのか 攻守逆転 今は講師で」
「資料なく 慌てたものの 4時間も アドリブ話す 良いか悪いか」
「昨夕は 交流会が あったよう でも眠らずに 瞳輝き」