○キツツキにやられました
キツツキという鳥は知っていますが、キツツキが直接木をつついている姿は中々お目のかかれないものです。人間牧場ができて一年余りが経ちましたが、水平線の家とロケ風呂の外壁に何やら大きな穴が開いているのを発見したのは丁度一年前でした。でも最初、それがキツツキの仕業だとは余り気付いてはいませんでした。水平線の家で歓談中外で何やら「コン、コン、コン」と音がするので出てみるとキツツキが直立の外壁に足の爪を立て器用に止ってくちばしをハンマーのように思い切り外壁にぶつけているのでした。始めて見る光景を面白そうに口を開けて見ていましたが、これは大変と手拍子や木切れで威嚇しました。しかしその効き目は一向になく、新品の外壁は無数の穴だらけになってしまったのです。近所の人に話すとキツツキの被害など日常で、イノシシの方に気を取られていますが、木製電柱や青竹さえも穴を開けてちゃっかり住みついている姿を見かけるのだそうです。足場を外した外壁付近にキツツキ脅しのための鏡やカラスの模型など吊ってみましたが焼け石に水で、何ら効果を上げることができませんでした。鳥おどしの網を張ればいいのでしょうが外観を損ねることからそれもできず、当面は大工さんにお願いして入れ木をしてもらいましたが、その付近にまた大きな穴を開けるのです。
広辞苑によるとキツツキは4本の足指中2本は前に、2本は後に向かい鋭い鉤爪があって樹幹に止るのに適し尾羽堅くとがっていて、これを幹に体を支えながら巧みに幹をよじるのです。嘴は鋭く舌の先に逆向きの鉤があり、幹に穴を開けて中の昆虫を掘り出して食べます。巣は幹を掘って作った洞穴中にあります。普通雄は頭が赤く雌は赤くないそうです。
戦国時代にはキツツキ作戦と称して相手を誘い出して滅ぼす戦法も聞いたことがありますが、キツツキの撃退法を知っている人がいたら教えて欲しいものです。
でも本当はフクロウとともに森の番人といわれるキツツキが、ねぐらにしたいほど人間牧場周辺の自然が豊かであることを感じなければならないのかも知れません。私たち人間は得てして人間の都合のみで生きています。野菜に虫や病気が発生すれば農薬を散布して、自分たち人間の健康はおろか自然の生態系などへの影響を考えもせずになりふりかまわず行動し、自分たちの暮らしの便利さのためにダムや観光道路や埋め立てを平気で行ってきました。共生という言葉を平気で使っている割には自然や他の動物のことなど無視して生きているのです。
昨日人間牧場でキジの鳴き声を聞きあの素敵な雄姿を見ました。「ケン、ケン、ケーン」とかん高い声を出しながら大きな羽を広げて目の前を低空飛行したのです。多分この頃はキジにとっても恋の季節であったり子育ての季節なのでしょう。近くで聞こえる草刈機の騒音への警鐘にも見えました。
さりとてこのまま水平線の家を赤ゲラの餌食にするわけにもいきません。人間牧場の豊かな自然の贅沢な悩みはまだまだ続きそうです。
「キツツキが コツコツコツと 音を立て 穴あけ帰る 何を目論み」
「イノシシの 次はキツツキ また被害 撃退知恵の なさに失望」
「鳥なれど まるでドリルか 大工さん 器用なもんだ まあるい穴を」
「警察に 被害届けを 出そうかな 器物損壊 いか程量刑」