○鳥取を旅する(大山町)
昨年の9月頃から鳥取県の市町村を軒並み訪ねる旅をしています。昨日は3町が合併して出来た新生大山町の生涯学習推進大会に招かれ、すっかり見慣れた鳥取への道をただひたすら自家用車で走り続け、5時間余りで会場となる旧中山町へ午前11時に到着しました。旧中山町へは今回が3度目だそうですが、大山の裾野に広がる肥沃な台地は梨やブロッコリーなど農産物が豊富だそうで、職員さんからいただいた名刺にはちゃんと観光地と特産品が細かい文字で紹介されていました。勿論町長さんの名刺も同じようなデザインで、控え室での話はもっぱらその話に花が咲きました。
どの町へ行っても最近は日本茶かコーヒーが出ます。案の定大山町でも女性職員さんが美味しいお茶を入れてくれたのですが、名刺に刷り込んだ特産品の欄に紅茶と書いてあるのを目ざとく見つけました。緑茶と紅茶は減量が一緒なのですが製法が違っていて紅茶は発酵させて作るのですが、紅茶といえばリプトンのティーパックというイメージが強過ぎて、紅茶を日本茶のように入れるのは馴染みが薄いようです。談義の過程で町長さんが「大山町自慢の紅茶は置いてないか」確かめたところ買い置きがないとの返事でした。町長さんは開会のあいさつを終えたら直ぐに遠出の出張だそうで、係りの人にわざわざポケットマネーを渡し、紅茶を買ってくるよう指示しました。そして「私はあいさつが終われば失礼しますが大山町の紅茶をお土産に差し上げますので飲んでみてください」と言って出て行かれました。余りにも早い決断と行動にあっけにとられた私は結局その言葉に甘んじて紅茶を土産にいただいたのでした。
ふと昔同じような出来事があったのを思い出しました。今は久万高原町に合併して自治体はなくなった美川村へ講演に行った時のことです。美川村の入り口には「スキーとお茶の町」という立派な看板が目につきました。役場に入って応接間に通されましたが、出されたお茶は残念ながらいいお茶ではありませんでした。対応に出た村長さんが「この村はお茶が自慢です」と言うのです。私は「村長さん、そんなに自慢のお茶は余程美味しいのでしょうね。これは提案なのですが、自慢のお茶だと言うのであれば村役場に来られた人に、少しお金が要るかも知れませんが美味しいお茶を出されて宣伝をしたらどうでしょう」と話しました。村長さんはいたく心を動かされてそれ以来お茶の入れ方を職員に勉強させ、お茶の薀蓄を語って販売量が随分増えたという話を後にお聞きしたのです。結果的には昨日の町長さんと同じように高級なお茶を手土産にいただき恐縮(妻は失礼なしたたかさだといいますが)してしまいました。
日本全国にはお茶が名産の市町村は多いようですが、何故かそんな市町村へ行っても美味しいお茶は出てこないばかりか、何処の国のものか分らないコーヒーを出して平然としている役所の職員が多いようです。特に日本茶はその入れ方によって味がぜんぜん違うのです。お茶を出せばそれで接遇は終りという間違った考えを捨てて、お茶の町ならお茶のソムリエを養成するくらいの気概で望むと話題になります。できれば「大山町は来客にコーヒーを止めて、地元特産のいいお茶でもてなす工夫した」という話題をニュースで振りまけばあっという間に有名になるはずです。これは面白いアイディアだと思うのですが如何でしょう。
合併して誕生した大山町はバランスのとれたいい町になりました。観光の旧大山町、水産の旧名和町、農業の旧中山町が合併したのですから、伯耆町のお株を奪う鬼に金棒かもしれません。大山の裾野に広がる新しい町の第二ラウンドのゴングが間もなく鳴りはじめます。
そんな思いを講演では話し、雪を被った伯耆大山が見たくて農面道路を走りながら国道に出て、峠を越えた雪のないスキー場を横目に一路しまなみ海道を走り、無事四国へ帰ってきました。
「コーヒーを 飲めない私 紅茶好き 茶の町名刺 話題にしつつ」
「どうだろう 役場くらいは コーヒー止め 農家支援の お茶を飲んだら」
「お茶濁す つもりで言った 茶の話 滅茶苦茶受けて お茶を土産に」
「町長さん さすが直ぐやる 職員も 脳内革命 起してください」