○人間牧場の夏の風景
今日は暦の上では24節季のひとつ処暑だそうです。暑さもそろそろ峠を越える意味なのですが、西日本に位置する双海町はまだまだ暑く、昼間の気温は有に30度を越えて暑さの収まる気配はまったくないのです。新聞やテレビは早くも秋の話題を先取りしようと懸命ですが、何もそんなに焦らなくてもむしろ行く夏を惜しむくらいのゆとりを持ちたいものです。
今日は松山市ロープウェー街の桑島さんが友人を連れて取材にやって来ました。取材といってもロープウェー街に設置したハイビジョンテレビで人間牧場の話題を放映するらしく、あちらこちらを適当にカメラを回して撮影していました。案内しながらふとロケ風呂から豊田漁港の風景を見ました。遠望はもやがかかって見えませんでしたが近望はまるで外国の風景を見ているように素晴らしかったので思わずデジカメで一枚撮影しました。見慣れた光景でも改めて写真に撮ると見事です。
私はこの風景を見せるためあえて両側の杉の木を切らずに残しています。そうすることによって周りの部分が隠れて強調されるのです。そのため何度となく木に登り要らない枝を切り落としました。そうすることによって直ぐ上にある水平線の家とそんなに標高差もなく同一敷地内なのに何故か風景が一変するのです。
今日は水曜日地元の漁船は殆どが遠く佐田岬半島まで出漁をしているため漁港は散閑としていますが、火曜日と土曜日は漁が休みのため整然と並んだ漁船の姿もまた見応えがあります。先日あいテレビの村上さんの取材した「キャッチあい」というテレビ番組のアングルは、しもなだ運動公園付近から逆にズームインしていていましたが、これもまたいい視点でした。
人間牧場一年目のの夏の風景を楽しむ余裕は残念ながら忙し過ぎてありませんでした。相次ぐ新聞や雑誌、テレビの取材や報道で見学や訪問者が相次ぎ、また予想以上に講演活動も依頼が多く、「本を読みながらゆっくり昼寝」という本来の願望はまだ達成されていません。「急がないと夏が終わってしまうかも」というのが正直な今の心境なのです。しかしそれにしてもリビングまつやまというタウン情報誌と南海放送、それにあいテレビの反響は凄いです。「読んだ」「見た」という人がかなり多くて、先日もある風呂に行きましたが、何人もの人に声をかけられてしまいました。おちおち風呂にも入られませんね。
ロケ風呂から沖合いを見ると、共栄網の船引き網が3統ゆっくりと網を引いていました。シロコと呼ばれる初夏の漁が終わり、2~3日前からカタクチイワシを獲っているようです。本格的なイワシ漁は来月中旬からだそうですが、漁獲したカタクチイワシは釜茹でされて乾燥機にかけられ煮干しとなるのです。今は海水温度が高く油が乗り過ぎて品質的にはまだまだなのですが、イワシ漁は早くも秋の訪れを告げているようです。漁船の航跡が何処までも長く伸びた夏凪の海もやはり風情があります。この風情をせめて少しでも心の栄養にしたいと一人海を見つめながら思いました。
「夏風情 楽しむ間もなく 過ぎようと ハッと驚き 写真をパチリ」
「見てください 言わんばかりに 戸を上げて 自慢の風景 土産に目渡す」
「夏凪の 海に真白き 船三つ 航跡長く 引きつつ進む」
「狭い道 下りてくるから 牧場の 開けた眺望 余計綺麗に」