○草は刈ったかい
「お父さん、人間牧場の草は刈ったかい」、息子から昨日携帯電話がかかってきました。昨日は自治会長として竹切りを済ませて8時半にわが家を出発し、9時にはもう草刈機を始動させて草を刈っていましたから、午後3時までの6時間、炎天下で草を刈っていたのです。用意した水筒は午前中で空になり午後は水平線の家の冷蔵庫から取り出した500ミリリットルのお茶を飲むほど汗をたっぷりかきました。直射日光を避けるため長袖に麦藁帽子、手袋に地下足袋、首にはタオルといういでたちです。ですから暑いの何のって、それに藪蚊の襲来を避けて蚊取り線香を腰にぶら下げるものですから、一種独特のお百姓さんスタイルです。
普通はお弁当を持って行くのですが、余り長時間畑仕事を続けると体に堪えるからという妻の配慮のため、畑仕事は午前中と決めているものですから、弁当も持たず食べずで頑張りました。4日前にも梅畑は草を刈っていたので、今日の作業で何とか一巡してやっと人間牧場の殆どの草を刈ったことになります。こうしてみると夏の草刈は大変で改めてお百姓さんの苦労がよく分ります。人間牧場の真ん中に入ったコンクリート舗装の道は、地元の人のお墓に通じる道なので、先日道の両側に草枯らし剤が散布されました。そうとは知らず草を刈ったりしたものですから地元の人に悪いことをしてしまいました。人間牧場へは力の続く限り草枯らし剤は撒かないで頑張ろうと思っていますので、少し心が痛みましたが地元との共存を考えるとこれもやむを得ない出来事と受け入れなければならず矛盾を感じています。
草を刈っていると、隣の畑で仕事に励むおばちゃんが声を掛けてくれました。おばさん「勢がでますねえ、暑いから堪えないようにして下さい。草は七回刈るものと子どもの頃から教わりました。進ちゃんは何回刈ったの」、私「はい、今日で3回目です」、おばさん「私の畑は今日で2回目です。私は足が悪くてマイピアでここまで来ます。昨日息子が刈ってくれました」と言葉を交わしながら、「えっ、7回だとまだ4回も?」と思いましたが、それは牛を飼って昔のことで、朝な夕な牛の餌となる草を刈るのは子どもの仕事だったとも述懐された話を聞きました。
人間牧場の草刈は息子にとって見れば「それはお父さんの仕事」と決めているようで、こと草刈に関しては割り切っているようです。勿論草刈機を使った経験のない息子に草刈機で草を刈る危険な仕事はさせられませんから、もっぱら私の仕事にしたいのですが、私の元気がどこまで続くか疑問なだけに、これからの人間牧場のあり方も考えておかなければなりません。しかし植えもしない草は本当によく伸びると感心します。ところが植えたはずの植物は中々育ってくれません。これも自然の摂理なのでしょう。
それでも子どもたちが植えたサツマイモや家菜類は少しずつ実って、収穫を待っているのです。
今日は息子の職場の人たちが夕方集まって何やら集会をするらしく、休日の息子は朝からやって来てその準備に余念がありません。妻は今日は午後から休みを取って息子のために料理を作るのだそうです。明日は次男の友だちがわが家の私設公民館煙会所で集会を開くとか、せっかくの土曜と日曜日なのに妻は子どもたちのためにせっせと働いて接待、妻には暑い週末のようです。私は今日は生涯学習センターでの講座を頼まれており、これから出掛け、夕方息子と合流して息子の職場の人の接待のお手伝いをする予定です。加えて明日はふたみの夏祭りという大きな町のイベントが予定されており、副委員長をしている関係で手伝わなければなりません。私にとってもこの週末は忙しい二日間になりそうです。
「草刈は 俺の仕事と 決めている 息子承知で 刈ったか電話」
「夏草は 何故に伸びるか うらめしや 草と戦う 日本の農業」
「七回も 刈れと先人 言いました 俺は三回 四回で済ます」
「草枯れる お墓に続く 道辺り おばさんお参り 盆が近づく」