○南の島に雪が降る
子どもの頃の記憶で定かではありませんが、昔私たちの町には何軒かの映画館がありました。子どもにとって映画館は夢の世界でしたから、よく見に行きました。しかし子どもに全ての映画を見せることは教育上よくないと、映画を撰んで文部省推薦の「24の瞳」や「ビルマの竪琴」などを見せてもらいました。
ある日「南の島に雪が降る」という映画を見ました。南方の島に兵隊さんが戦争に行きましたが、度重なる戦闘やマナリアで兵隊さんが死んでゆくのです。死ぬ時に望郷の念にかられお母さんや兄弟を思い出すシーンには瞼をぬらしたものです。そんな中死を間近にひかえた兵隊さんが雪を見て死にたいと言うのです。
仲間はその願いを叶えてやろうと舞台を作り天井から紙ふぶきを降らせました。兵隊さんはその吹雪の中で自分のふるさとを思い出し死んでゆくのです。
数日前、研修で訪れた沖縄県石垣島で「石垣青年会」の事例発表を聞きました。かつて私たちが若いごろ、日本全国には沢山の青年団や青年会、4Hクラブなどがありましたが、青年団などはもう死語に近い存在です。そんな中今でもりっぱに活動を続けている石垣青年会の活動には頭が下がりました。
文化祭や伝統行事の伝承活動はどの地域でもやっていますが、私が注目したのはクリスマスの頃にやった高さ5メートルの氷灯篭づくりや雪を降らせるイベントでした。若者は時として突拍子もないことを考えそれをいとも簡単に行動に移します。南の島には雪は降りません。だから降らそうと金もないのに発想し、神戸から降雪機を借りて本当に雪を降らせてしまったのです。時節柄北陸や東北の方には申し訳ないと、イベントを諦め今回は募金を集め豪雪見舞金を送った心根の優しさも持ち合わせている彼らの話は、夕日で町おこしをした私たちの20数年前とよく似ている話です。
南の島に雪を降らせた青年会のイベントは大受けで1万人もの人が集まり、子どもたちは夢と感動を青年とともに味わったそうです。石垣島は他の島のような人口減少もなく、むしろ人口が増加しているそうです。そして都会からやって来た若者が青年会に入り地元青年と一緒に青年活動をしているそうですが、羨ましい限りです。イベントにはまだまだ改良の余地があるとお見受けしましたが、これも青年の力で大きな乗り越えて欲しいものです。「金がなければ知恵を出せ、知恵が出なけりゃ汗を出せ、汗も出なけりゃ辞表出せ」と日ごろから言っている私としては、石垣青年会のパワーに大きな拍手を送ります。また石垣青年会の事例は全国各地で紹介したいものです。
「かつて見た映画そのまま雪降らす石垣青年褒めてやりたい」
「よく聞いた人は石垣人は城石垣青年人は石垣」
「島おこし発祥の地訪ねたる心洗われ決意新たに」
「非常識やってしまえば常識に青年たちの勇気に拍手」