〇叔父の決意
私の家は代々漁師でした。漁師の長男に生まれた私も漁師になるため宇和島水産高校に進学し、親父がガンになったため大学進学を諦め地元に帰って7年間漁師をしました。しかし25歳の時体調を崩し漁師が出来なくなり、地元の役場に勤め60歳まで務めました。
親父は12人兄弟姉妹の長男に生まれました。殆どの兄弟姉妹が町内の住んでいますが、親父や叔父叔母も他界したり高齢になっています。叔母の義理の夫が最後まで漁師を続けていましたが、海難事故で2人の息子を亡くし、叔母も亡くなったため97歳ながら下灘下浜で一人暮らしていましたが、最近脳腫瘍を発症し入院しました。
昨日退院したという知らせを受け自宅へお見舞いに行きました。愛知県で暮らす息子夫婦が帰郷していました。聞けば高齢ゆえ一人暮らしは無理と判断し、本人を説得納得させ、70歳の息子夫婦が一緒に愛知県へ連れて帰るとのことでした。
叔父にしてみれば老い先もそんなに長くないので、生まれ育った下灘下浜を離れる決断は本意ではないと切々と私に話してくれました。それでも今月の17日慣れない土地へ旅立とうとする叔父の姿に少ししんみりしました。この叔父がいなくなると私の親類で漁師はゼロになります。何とかしたいけれど何もできない寂しい時代の流れです。