人間牧場

〇地域おこし協力隊員の送別会(その2)

 3年前の桜の咲く頃、二人の地域おこし協力隊員が私の町に赴任して来ました。ひとりは笑顔の素敵な川口さんという若い女性でした。この女性はズボンはモンペ、靴は二股地下足袋といった、若い女性にしては「エッ?」と思わせるような少し変わった出で立ちをしていて、たちまち田舎ゆえその風貌が噂になりました。噂する人たちも同じモンペと地下足袋といったルックなのに、人のことが話題になるのも田舎らしいところです。第一都会に住みながら若い女性が見ず知らずの田舎を目指すこと自体、よくよく考えてみれば変わり者で、相当の覚悟がなければ親や周りの人も反対するはずですが、川口さんはあえて火中の栗を拾いにやって来たのです。本人にしてみればこの3年間は葛藤の連続だったことでしょうが、傍目では沈着冷静に振舞い、よもくれ団子などを作ったりしながら様々な仕事をこなし、あっという間に3年間を終えました。3年間の任期が終ると地域おこし協力隊員は否応なしに「定住」か「起業」か「転職」を迫られますが、川口さんは縁あって隣の町へ引っ越すそうです。

DSCN2984 もう一人は本多さんというイケメンのお兄さんです。本多さんはマスコミ関係の仕事をしていたころ、双海町で行なわれたトライアスロンに参加して、この町の原風景が気に入り、地域おこし協力隊員になった人です。奥さんと2人の双子子どもの一家4人でこの町にやって来て、移住促進をテーマにこの3年間活動してくれましたが、風前の灯だった翠小学校の児童数を今時珍しい16人から来年度26人に引き上げるなど、その成果は数字となって現れています。2人の子どもがわが家の孫と同じということや、奥さんが母の会の役員を若嫁と一緒にやったこともあって、度々わが家を訪れ家族ぐるみの交流をしていますが、何といっても最大の功績は来咲(きに)ちゃんと花音(かおん)ちゃんの2人の子どもを翠小学校へ来年入学させてくれることです。本多さんは久保の農家の一軒家を借りて「定住」しながら、とりあえず来年度はトライアスロンの事務局に勤めることが決ったようです。

送別会の進行をする冨田さん
送別会の進行をする冨田さん

 昨日はお二人を囲んで送別会が持たれました。最後に高岡さんと高村さんの2人が代表してささやかな花束を渡すと、川口さんは感極まって涙を流していました。人はその場所に立ち止まることはできません。何かを探し何かをしなかれば生きては行けないのです。それでもみんな3年間で培った人間関係にある種の恩を感じながら、とりあえずこの町に思いを寄せて生きてくれることは、何よりも嬉しいことです。前年同じように同じ場所で送別会を持った冨田さんは、日喰の一軒家を借りて家族3人で「定住」を決意して、厳しくも楽しい慎ましやかな暮らしをしながら、軽トラ市などの仕事も続けてやってくれています。昨日は2人に替わって来年度から双海町を担当する渡辺さんという新しい地域おこし協力隊員の歓迎会でもありました。細々ながらクモの糸が繋がり、また新しい年度が始まります。お2人の3年間の活躍に大きな拍手を送ります。

  「脱都会 2人は何故に この町へ 3年間は あっという間に」

  「色々と 人には言えぬ 苦しみが あっただろうと 涙に思う」

  「ご苦労さん 今はそれだけ 贈りたい 羽根を休めて 次に向って」

  「新しき 隊員赴任 頑張って いいとこ見習い みんなのために」

 

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