○ホッと一息
10月と11月にまたがっていたとはいいながら、自分の町や家を離れていたのは僅か3日間だけなのに、自分の町や自宅に戻って今朝起きてみると、何やら外の空気が一変しているのです。多分日本列島をほぼ東西に延びた寒冷前線が通過し、西から冬の到来を告げる大陸性高気圧が張り出し、今年の秋になって始めての本格的な北西の風が吹いて木々揺らし、寒く感じさせるからなのかも知れません。妻の干した庭の洗濯物も勢いよく風になびいています。また背中を丸めた親父の姿は上にちゃんちゃんこを羽織ってもう冬が来たような服装なのです。こんな光景を見ながら、一昨日訪ねた北海道のわが町にしてみれば真冬並みの氷点下に下がった体験や、わが町を一日にして冬近しの風景に変えてしまう自然の力は偉いものだと、つくづく感心するのです。
長旅や詰まったスケジュールだった10月の峠を越えて、今日はちょっと一息という感じですが、頼まれている原稿書きや身辺整理もあって今日は久しぶりに書斎の机に向かって過ごす一日になりそうです。留守中沢山のメールや便りが届いていました。中には外国からのエアメールもあって中々賑やかですが、その返信やはがきも書かなければならず今日は気合を入れないと片付きそうもないのです。
私が留守をすると決まったように妻が、読んでいない新聞をまとめて書斎の隅にまとめて置いてくれています。多分県内の情報音痴にならないようにとの気配りでしょうが、その中には息子が勤めている今治警察署の犯人逃亡の記事も出ていました。妻はこのことが気がかりで昨日は寝れなかったようです。息子に電話をしても機密事項だけに黙して語らないため、不安の解消どころか不安がより募るようで、息子が成長して大きくなっても親の気苦労は絶えないようです。
新聞記事で思い出したのですが、訪ねた北海道のホテルロビーで新聞を読んでいると、双海町のことが出ていてびっくりしました。わが町の沖合は防衛省の艦艇が掃海訓練などを行っていますが、その艦艇とわが町の漁船が衝突したというのです。幸い怪我もなかったようですが、一瞬数日前に関門海峡で起こった艦艇とコンテナ船との衝突や、この夏わが母校宇和島水産高校の実習船えひめ丸とわが町漁船の衝突事故などを思いました。
私の町は漁船漁業の盛んなところですが、時々こうした衝突事故や、時には漁具に巻き込まれる痛ましい事故などもあり、これまでにも何人かの漁民が尊い命を落としています。
親父が若いころ県外出漁していた伊豆下田沖の太平洋ではキンメダイの漁船が転覆、し奇跡的というべき転覆してから4日ぶりに3人の命が救助されました。
夏の賑やかだった海はこれから春先まで荒れながら深い眠りに就くのですが、恵みの海に感謝しながら風や波を避け漁船の舳先に泊まって休むカモメと同じように、私も少しのんびり骨を休めたいと思っています。
「一日で 戸外の様子 一変し 北風受けて 干し物揺れる」
「ゆっくりと 骨を休める 日にすべく 窓外を眺め 葉音聞きつつ」
「背を丸め 歩く姿は 冬モード 親父は既に 衣替えする」
「庭シノブ 一気紅葉 風揺れる 惜しむがごとく 写真収める」