○念願の採蜜をしました①
7月17日、その日はあいにく朝から雨でした。でもミツバチ飼いの師匠である西予市野村町山奥組の井上登さんと約束していた、待ちに待ったハチミツの採蜜の日なので、様々な準備をして人間牧場へ出かけて行きました。朝9時に家を出て人間牧場へ着くと井上さんは既に到着していました。雨を気にしなりながらも雨合羽を着てミツバチに刺されないための防護ネットを頭からすっぽり被り、いよいよスタンバイです。巣箱は4つありそれぞれに1号・2号巣箱と名前を付けていますが、2号の巣箱は残念ながらスムシの餌食になって空き家になっています。最初に始めたのは井上さんが今年2月はるばる野村町から種蜂を運んでくれた母屋ともいえる1号巣箱です。私にとって採蜜は今まで見たこともやったこともない初めての体験なので、井上さんの言うがまままるで金魚のフンのように行動するしかないのです。防護ネットを被った私の姿はまるで人形浄瑠璃のデコを扱う黒子のようでもあり、何となくみょうちきりんな恰好でした。
採蜜の方法はいろいろと人によってまちまちのようですが、井上さんは篭にゴザを巻きつけた秘密兵器を使っています。巣箱の上の杉の枝に紐で吊るし、巣箱をそっと逆さまにしました。そしてその上からゴザを円筒形にして被せ、巣箱を竹の棒で叩くのです。そうすると叩いた振動や音でミツバチはゴザの中に一時避難するという算段です。高知県馬路村の木下さんから届いた手紙によると、段ボールの箱でも代用できるようですが、この日のように雨が降った日だとゴザが良かったようです。
(井上さんの秘密兵器ゴザを使ったミツバチの一時避難所づくりです)
(巣箱の中は幾重にも(さ巣がありミツバチが群がっていました)
(さあ準備完了です。竹の棒でミツバチを上のゴザの中へ追い込みます)
(雨のせいかミツバチの動きが鈍くゴザの中へは余り移動しませんでした)
井上さんは採蜜のために地元の鍛冶屋さんに特注したノミにも似た2本の道具を器用に使って、巣箱の中に差し込み、ハチの巣を一つ一つ切り取って外し、用意した桶の中へ入れて行きました。井上さんの話だとこの巣もスムシの被害に遭っていて、切り取りはしたもののハチミツは殆どないとということでした。少しがっかりしましたがミツバチが最も活発に活動していたツリーハウス横の3号巣箱は重量感もあって期待が持てるというので、1号巣箱は練習のつもりで作業を終え3号巣箱へ移動しました。
練習の成果でしょうか、3号巣箱はゴザの巻き方も申し分なく、蜂の一時避難も先ほどより多かったようです。雨はやむ気配がなく作業をしながらデジカメで写真に収めるのですが、途中でデジカメが雨に濡れて動かなくなるハプニングに見舞われました。
3号巣箱はハチの巣の大きさも蜜の量を最高で、井上さんはその巣を丁寧に切り取り、少し大きめのポリ樽に入れてましたが、ミツバチたちは巣と離れ難いのか切り取った巣に群がって離れようとしませんでした。何カ月もせっせと貯めたハチミツを人間に横取りされるのですからたまったものではありません。私もその姿を見て少々心が痛みましたが、まあ仕方がないことと諦め、ハチの巣に群がった蜂をそっと巣箱の近くへ払いのけてやりました。
その時はチクリとしたぐらいでそんなに木の求めていませんでしたが、雨に濡れた私の軍手の上から手の甲辺りを何度か刺されました。井上さんはゴム手袋をしているため平気でしたが、私は軍手という軽装だったため怒らせたミツバチの洗礼を受けました。何日か前布団に寝ていてムカデに刺された足がやっと快方に向かっていた矢先の出来事はまさに泣きっ面に蜂でした。そのハチ刺されで腫れた手を見るにつけ、今度はしっかりと防備してかかりたいと思うのです。
「防虫の ネットを被り 採蜜す まるで黒子だ 奇妙な姿」
「落胆と 感動交互 やってくる これも自然の 成せる洗礼」
「肝心な 時に必ず ハプニング デジカメ故障 困ってしまう」
「竹棒で 巣箱を叩く 姿見て 土人狩り前 鼓舞する姿」