shin-1さんの日記

○東広島市でたっぷりと話しました。

 講演の時間はその時その場所によってまちまちですが、シンポジウムで講演とパネルディスカッションを組み合わせた場合を除けば短いのは約1時間、長くても2時間程度が普通です。ところが昨年に引き続いて招聘いただいた今回の東広島市での講演講話は三つの研修会を組み合わせてもらったので、一日目は4時間、二日目は3時間2回の合計10時間という長丁場になってしまいました。普通の人はこんな時間を貰うとたじろくのが普通でしょうが、私はいたって平気でこれまで最長は連続10時間というのがありましたから、驚くことはないのです。しかし私は何時間でも話せても聞く方の限界はせいぜい2時間が限界なのかも知れません。普通小学生は40分、中学生は50分高校生は60分、大学生は90分が通り相場なのですが、大人の場合はまあ90分が限界のようです。

 今回の研修会は、三つの区分ごとにお話したので、私にとっては短く感じるほどよい時間配分でした。

 研修会を主催する場合、主催する側の聞かせたい話と、参加する側の聞きたい話は必ず一致するものではありません。主催者がいくら金をかけて有名な人を呼んでも、参加した人が心を閉ざせば馬の耳に念仏、馬耳東風なのです。特にこの時期の研修会は外のうだるような暑さから逃れて、冷房の効いた会場で開催するものですから、眠気をもよおすものです。しかしこれを主催者が不謹慎だといっても眠いものは眠いのです。肝心なのは眠らないような話をする講師を選び、選ばれた講師は眠らないような話をしなければならないのです。その点私などは田舎のドサ回りのような全く無名な人間なので、主催者から研修会の出席通知があった時点から参加者は余り期待をせず、主催者に分らないよう居眠りをしようと決め込んで来たに違いないのです。しかしそのドサ回りの私は、ドサ回りにしてはまるで由も都心喜劇のような面白い話をする人間なので、ステージ側から見た範囲では寝ているような人は殆どなく、むしろ私が驚くほど反応よく応えてくれました。

 一日目は新規採用職員研修会でしたが、事前に質問用紙の提出を義務付けていたので事前学習をしっかりやっていて反応は上々過ぎるほどでした。

 二日目は課長・課長補佐など役職を持った人でしたが、職責の都合上170人を85人ずつに分けて仕事に穴が開かないよう配慮していました。上司は部下を選べないが部下もまた上司を選べないという数奇な運命の人間関係の中で、自分に与えられた駒を使っていい仕事をするためにはどうすればいいか。「市民視点のまちづくりセミナー」ということもあって、私の経験をお話させてもらいました。私は35年間の役所生活の殆どが役所視点でなかったため、役所視点という風潮が根強い時代であったこともあって、随分同僚や先輩との軋轢に苦しみました。でも市民視点を貫いたお陰で、市民いい仕事が出来、結果的には市民の幸せ実現に貢献することが出来たのです。夕日を地域資源にしたまちづくりなどはその最たるもので、町民が自分の町の夕日を自慢したり、年間五十五万人といわれる多くの観光客が今もやって来て、それなりの経済効果を生み出しているのです。

 私は課長などの管理職は「金は出す」「口は出さない」「責任は取る」という三つのことを肝に銘じるべきだと思っています。ところがつい最近の管理職は「金は出さない」「口は出す」「責任はお前が取れ」と開き直ります。管理職になれば部下の責任を取って止めなければならないことはあるし、口を出さなければ自分で行動し、金を使っていい仕事が出来るのです。

 その場合、「まちを愛する」「まちのためにやる」「まちを正しい方向に導く」という根本理念が上下で認識されていなければなりません。上に軸足を置くのではなく、地域住民に軸足を置いて仕事をすれば自ずから結果はついてくるものなのです。

 結局はひとりの人間としてどう生きるかという人間力とでもいうべき生き方の信念を持っていないといい仕事は出来ないのです。

 二日目に集まった管理職のうち課長以上の方はもう10年以内に肩書きも名刺もなくなってしまうのです。肩書きと名刺をなくしたときその人間が、本当に市民視点のまちづくりをしたのかどうかが決まるのですから、今から市民視点に立ち返りいい仕事をして欲しいと締めくくりました。

 帰り際、松山観光港近くで、ものの見事な夕日が松山市ごご島に沈むのを見ました。偶然出会った中島の豊田さんと二人でその美しさに酔い知れました。

  「役職や 名刺取ったら タダの人 もう直ぐそれに 気がつく遅い」

  「軸足を 市民視点に 置きかえて もっと仕事を もっと努力を」

  「ドサ回り こんな無名の 私でも 役立つはずと 重宝してくれ」

  「広島の 二番煎じに ならぬよう 役所変われば 必ず変わる」  

 


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