○孫と遊んだ一日
一昨日の夜、五歳になる孫に電話を入れました。このところ私が忙しくて孫とゆっくり遊んでやれないため、時々かかってくる電話で、「おたまじゃくしは生まれた?」「カブトムシの幼虫はどうなっているの?」「僕の蒔いたカボチャの種は生えた?」などなど、盛んにちょっかいを出してくるのです。その度に「おたまじゃくしは大分大きくなって田んぼで泳いでいる」「カブトムシの腰痛も随分大きくなった」「カボチャの種は芽が出てご飯が欲しいと言ってる」と話しをすると、「早く行きたい」と親をせかすらしいのです。「じゃあ明日双海のじいちゃん所へ泊まりにくるか」「うん行く」の口約束が成立しました。
昨日は人に会う約束だけなので、理髪店で散髪をする予定を済ませ、朝松山まで迎えに行きました。週休二日が定着したのか、午前9時ころなのに松山市内はいたって静かで車も少なく双海から道後緑台まで僅か40分で到着しました。孫は既に着替えや図鑑など持ち物の準備が出来ていて私を待っていました。孫「じゃあ行ってくるね」、娘「気をつけてね」でいとも簡単な親子の別れです。
しばらく接しないうちに孫は一回り大きく成長したような感じがしました。その分私は退化しているのかもしれないと苦笑しながら車の後ろでシートベルトをつけてお喋りをしていました。どうやらハーモニカを吹けるようになったらしく、「ドドソソララソ」などと音階をいいながらハーモニカを吹く真似をしていました。いよいよ私とハーモニカでコラボレーション演奏をすることが出来るかも知れないのです。
妻に頼まれたパンを買うため、新しく出来た松前町の商業施設エミフルに立ち寄りましたが、もう聞き耳が出来た孫は以前のようにおもちゃ売り場やゲームコーナーをさっさと通り過ぎ、ピカチューパン一袋150円で満足なのです。エミフルも開店当時のような混雑もなくご前中ということもあって空いていました。
わが家へ帰って昼食を済ませ遊びの行動開始です。まずシーサイド公園へ貝を拾いに出かけました。紙袋を持って渚を歩くと砂に混じって小さいながら沢山の貝類が無数に散らばっていました。その中から巻貝や二枚貝を探すのですが、孫は慣れているのか沢山拾いました。中でもアンモナイトに似ているアオガイを2個見つけ歓声を挙げていました。シーサイドのじゃこ天のおばちゃんに孫朋樹は馴染みの顔で、たこ焼きやドーナツ、お魚屋さんではスイートコーンまでいただいてご満悦でした。
家に帰り孫が大じいちゃんと呼んでいる親父に、シーサイドで買い求めたドーナツを孫がお土産だとプレゼントしました。親父は嬉しかったのか、早速お小遣いだといって千円を渡していました。孫にとって千円札はまだそんなに価値のあるものではなく、玄関先に置いて網と虫かごを持ってチョウチョや青カエルを夢中で追っていましたし、大じいいちゃんに貰った肥料を芽が出たカボチャの苗にやったりと忙しく遊んでいました。
やがて夕方になって夕食が終わるとさすがに疲れたのか、「ダウィンがやって来た」というビデオを見ていましたが、昨日に続いてほたるを見に行く事にしました。先週もほたる祭り来たようですが、その時はイベントだけでほたるを殆ど見ていなかったのです。妻と三人で暗闇をほたるを鑑賞しました。「どうしてほたるは光るの?」など矢継ぎ早の質問に妻はタジタジでした。子どもの頃にこんな幻想的な風景を見させることはいいことだと思いました。
風呂に3人で入り、3人が川の字になって寝ました。孫は私のアドリブなお話が大好きで、昨晩のテーマリクエストは「リス」でした。働き者のリスと遊びの好きなリスの話をしてやりました。始まると拍手、終わると拍手です。やがて夢の中へ旅立った孫の寝息が聞こえるようになり、短くも長い一日が終わりました。
「少しずつ 成長している 孫が来る 私と妻は 少し衰え」
「川の字に なって布団が 狭くなる 妻はさっさと 別の布団に」
「何故ほたる 光るんだろうと 矢継ぎ早 質問されて 妻はタジタジ」
「子離れを した老夫婦 思い出す 昔はいつも こんなだったと」