shin-1さんの日記

○秋刀魚にすり大根

 秋も深まって、全国の仲間から様々な旬の味が届くようになりました。新米の米、ジャガイモ、お酒、お菓子類、果物など様々ですが、中でも秋刀魚は海の町ながらわが町では獲れない代物だけに嬉しい贈り物です。

 昨日旅先から帰ってみると、北の友人からではない首都圏の友人から東北の秋刀魚がどっさり届いていました。そういえば旅先で知人友人の顔を思い出し、旅先の産物を送ることが可能である便利な時代になったのです。私が帰った頃には宅配の発泡スチロールは既に開けられて、玄関先まで「今日は秋刀魚の塩焼きですよ」と言わんばかりに塩焼きの匂いがプーンと漂ってきました。「今日の夕食おかずは秋刀魚か」と妻に言えば「そう、○○さんから美味しそうな秋刀魚が届いた」と見せてくれました。秋刀魚の語源そのままに、氷詰めされた秋刀魚はピンとして色もよくまるで刀のようです。「今日は久しぶりに新鮮な秋刀魚なので刺身も作りました」とお魚ママさんの講習で免許皆伝をいただいている妻だけあって嬉しい対応です。

 外出の背広を着替え早めの風呂に入って居間着に着替え今日はキッチンではなく居間に料理を持ち込んで食べる事にしました。最近までは大家族だったわが家もいつの間にか一抜けニ抜けと家族が減って、料理を運んでやって隠居で食事をする親父も別所帯なので、夫婦二人なのです。妻は大家族時代の余韻なのか、毎日の料理をついつい作り過ぎて、同じものを3回も食べさせられることもしばしばですが、昨晩の料理は好物だけに格別でした。

 秋刀魚が焼ける頃を見計って私は少し暗くなった自宅の敷地内菜園に行き、大根とカブを抜いて水洗いしました。カブは塩もみの漬物でス。真っ白いカブは大き目に刻んでパラパラと塩を振るだけでしんなりして、浅漬けに早代わりします。私は妻の料理の進み具合を見計って、秋刀魚の添えにするすり大根を柄にもなくおろし金でおろしました。少し大目のすり大根は、食卓では一品の感じがするほど居場所を主張していました。

 やがて秋刀魚の熱々が食卓に並び、秋刀魚の刺身もネギ、しょうがが添えられ、さあ夕食です。まあその美味しいこと、「美味い」という言葉が夫婦の間で何度出たことでしょう。新米の輝くような白さや食感も格別で焚きたてご飯を、普通は茶碗一杯なのに軽くお代わりまでしてしまいました。

 やはり食べ物は旬ですね。食後のデザートもリンゴと新高梨ですから申し分ありません。折りしもテレビでは美味しい味めぐりのような番組でしたが、一切れ何万もするような高級な牛肉やキャビア、フォアグラなどが、俳優のやらせのような食べ方で紹介されていました。あんな物ばかし食べるから肥満や成人病になるのだと思いつつ、わが家の旬の日本的食卓の幸せを感じたり、「わが家の秋刀魚でも美味しいよねえ」と二人で納得しながら秋の食卓を囲み、幸せをかみ締めました。

  「焼き魚 玄関先まで 匂ってる 今日は秋刀魚か 大根添えよう」

  「フォアグラや キャビアや松坂 なくっても 秋刀魚で充分 満足お代わり」

  「白いカブ まるでお前の 肌のよう 口が滑って 言ってしまった」

  「この大根 お前の足に 似ていると カブで株上げ 大根おろし」 

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