shin-1さんの日記

○息子への手紙

 私は毎日3枚のハガキを書くなど、田舎のおじさんにしては小まめな方ですが、私の出すハガキの相手は全てといっていいくらい他人なのです。4人の子どもへの用件は殆ど電話で済ませるので、これからも出すことは余りないようです。

 一昨日警察官をしている息子から、年末調整の手続きに必要なので保険の支払証明書を送って欲しいと妻に連絡があったようです。こんな場合妻は私が文章を書きそめていることをいいことに、「お父さん一筆書いて」と便箋と封筒を持ってくるのです。「お前が書いたら」と反論するのですが、最後は押し切られて私が書くのです。

 人に出すハガキや手紙は何ともなく書けるのに、いざ息子に書くとなると言葉が中々出ないようで、四苦八苦しました。まず時候の挨拶を書いて元気にしているかどうか消息を尋ねます。警察官をしていることもあってこの一年殆ど家へ帰らず、激務に追われているようです。妻が一週間に一回程度電話で消息を聞く折、私も電話口に出て雑談をするのですが、警察という秘密な部分の多い職場だけに、近況を聞いても仕事の話はまったくしないのです。

 未婚なので寮生活をしています。ゆえに妻は食事のことが心配なようです。外食や外食弁当が多いので栄養のバランスが取れず多少アレルギーな体質でもあるので、体調を崩してはいないかいつも、「野菜を食べろ、肉より魚、運動不足にならないように」と30歳になったというのに、まるで子どものようなセリフで電話している妻を見て可笑しくなるのです。

 息子の勤めている警察では先日大変な事件が起こったようで、署員一同心配の連続だったに違いありませんが、その事件も無事解決し、一昨日の電話では久しぶりに息子からかかってきたようで、ホッとしました。

 さてさて息子への手紙の本題は保険の支払調書の送付なのに、そのことは追伸でほんの2行の言い訳程度で終わり、くどくどと人生の生き方などを書いてしまい、少し自責の念に駆られながら妻に渡しました。妻は「さすがお父さん、私はとてもこんな文集は書けません」と持ち上げてくれましたが、受け取る息子はこの手紙をどんな気持ちで読むのでしょう。

 昔私が若いころ、一度だけ親父から下宿に手紙が届いたことがあります。わが両親はむしろ母親が文章を書くのが好きなタイプでしたから、親父の手紙は内心驚きました。でも短文ながら私への思いや、人生の生き方などをしたためていて、私はこの手紙を大切に持っていましたが、いつの間にか何処へしまい込んだのか思い出せないようです。

 男の親が男の子どもに手紙を出すことなど殆どないものでしょうが、私はこれからも出来れば出してやりたいと思っています。折しも長男は職場の旅行で今ヨーロッパへ行っていますが、ヨーロッパからエアメールでも届けば最高なのでしょうが、不器用な息子にそんなことを期待して落胆する方が野暮なので止めたいと思います。

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