shin-1さんの日記

○迷子の小鳥

 間もなく90歳になる親父は毎朝散歩を欠かしません。自分の体力と気力の差を少しでも埋めようとの思いでしょうが、その散歩の距離も往復5キロくらいだったのが少しずつ減って、今は往復2キロくらいになりました。余り無理をせず自分の体力に合った程度にするよう話しているのですが、ついつい昔の気力を思い出すのか少々長く歩いて、「今日は疲れた」と弱音を吐く事だってあるのです。

 昨日は、親父の洗濯物干し場の草削りをしました。かなりの草丈になっているので、「草を刈って欲しい」と頼まれていたのですが、ついつい伸び伸びになっていて、草刈機も人間牧場へ移動しているので、昨日は暑いさなかの午後3時から1時間程度草削りをやりました。親父は自分の部屋で時代劇水戸黄門から大相撲とテレビ観戦の途中でしたが、草削りの音を聞いて自分も手伝うと、私と同じように鍬で削り始めました。年中家庭菜園の雑草取りをしている親父は、驚いた事に私より作業のスピードが断然速いのです。しかも少し削るとフーフーいいながら吹き出る汗をぬぐって一休みする私を尻目にどんどん進んで行くのです。年齢さ27歳の若さの私としては負ける訳にはいかないと、馬力をかけてやるのですがさすがに疲れてダウン寸前となってしまいましたが、それでも親父に弱音を吐くこともできず、気丈に振舞いました。一段落ついたところで私は作業を止めましたが、親父はその後もトマトやキューリの下草を削りながら作業を続けていました。偉い体力です。

 昨日は親父を松山の県立中央病院へ歯科検診に連れて行きました。入れ歯の噛み具合が悪いようで、毎週の通院です。予約が午前8時30分だったため9時には処置を終わって病院を出ましたが、帰りに白内障の手術の経過を診てもらうため、伊予市の本宮アイクリニックに立ち寄りました。異常なしとの診断に親父も私も一安心しました。これまでどちらかというとほったらかしにしていた罪滅ぼしのつもりで親父の面倒を見てやりたいと思う「自称親孝行息子」なのです。

 今朝サロンパスを張りに隠居へ行きました。すると隠居の濡れ縁側に小鳥の篭が置かれていて、何やら鳥が入っているのです。私を見て驚いたのか小鳥は篭の中をバタバタ飛び跳ねました。親父に聞けば散歩の途中この鳥を見つけたそうです。親父はこれまでにもカラス、ハト、タヌキなど散歩の途中で傷ついた小動物を可哀想だからと拾ってきては世話をして、回復したら逃がしていますが、今回は自分の前をトントン歩いたり飛んだりして、結局わが家の窓の開いた施設公民館煙会所の中に飛び込んだのだそうです。少年の頃の本能が頭を持ち上げたのでしょうが、親父は素手でこの小鳥を捕まえて倉庫の鳥篭を取り出して中に入れたようなのです。

 週末にやって来る曾孫に見せてやりたいと、早速餌を与えていましたが、さて餌を食べるかどうか、また人になつくかどうか心配ですが、少し元気になったら放してやりたいといっていました。降って湧いた小鳥の世話に親父の顔も朝日に当り生き生きと輝いているように見えました。

 このところ、わが家への来訪者も多く、その都度愛飲しているオロナミンCと座布団を家の横の東屋まで運んできてくれる親父は、9月に90歳となりますが、周りにいた知人友人が逝って段々いなくなっていくのが寂しいようです。そしてわが家の畳の上で死にたいと時折弱音を吐きますし、特養施設には行きたくないとも話します。これまで手もかからず元気で過ごしてくれたのですから、そのくらいは息子の務めと覚悟して、親父の話し相手の時間を見つけようと思っています。自分の老いのためにも・・・・・。

  「少しずつ 向こう近づく 気がすると 弱音を吐くが 親父は元気」

  「俺よりも 体力あると 脱帽も 負けてたまるか ついついオーバー」

  「この家で 死にたい口癖 今朝も言う 心配するなと 勢付け話す」

  「曾孫見せ やりたいものと 鳥かごに 小鳥捕まえ せっせ餌やる」 


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