shin-1さんの日記

投稿者: | 2007年11月4日

○長野県木曽町を訪ねる・ルポ④

 池田さんの案内で赤沢自然休養林を訪ねて帰る途中も、渓谷美にしばし足を止め車を降りて景色を見せてもらいました。目の覚めるような景色にただ驚きの声を上げるのが精一杯でした。こんな景色を都会の人は勿論のこと、地元の人も案外知らないものです。ゆっくり歩いて散策する人やカメラで記録する人などまばらでしたが、いつの日か私もあの人たちのように美しい日本の季節の移ろいを心で感じるような人になりたいと、しみじみ思いました。

 池田さんに案内されて営林署の貯木場を見学しました。ある所にはあるもので1本100万円は下らないという、無節の檜が生前と並べられていて圧巻でした。池田さんはこんな木を仕入れて製材し、材木として日本全国の神社仏閣は勿論のこと住宅用に販売しているのです。この木が一本100万円以上ですから驚きです。でもその値打ちは充分にあると思いました。

 見納めの紅葉も綺麗でした。

 遠い山々の峰には既に白く冠雪が見え、束の間の秋の後の厳しい冬の寒さを連想しました。山深いこの地方も間もなく冬の寒さが駆け足でやって来ることでしょう。

 池田さんの貯木倉庫を見せてもらい帰りにちょっと虫のいい話を思いつきました。今月の11月15日と16日の両日、わが町で国土交通省主催による観光カリスマ塾が開かれます。私が塾長を務めるのですが、その折人間牧場で夕日寄席という落語ならぬ落伍をやる予定で準備を進めています。その高座は何と高知県馬路村産魚梁瀬杉の切り株の上です。樹齢150年の切り株なのですが、その上に63歳の私が座り30話の中の一部を話すのです。年輪の話はその中心なのですが、池田さんからお土産にもらったお盆を使って木曽檜や池田さんから聞いた古株に宿る小さな檜の生命について話すことにしようと思って、池田さんに今日量化してもらうよう手紙を書きました。そしてその手紙にはもっと虫のいい話を書きました。西の魚梁瀬杉の切り株があるのだから、真ん中の木曽檜の切り株を手に入れようと愚かな事を考えたのです。営林署の貯木場の隅に落ちている要らなくなった年輪が数えるぼろい切り株はないものか、ひょっとして・・・・・。

 来月北の秋田へ参ります。その折にも秋田杉の年輪を少し意識して見たいと思いました。それというのも人間牧場に来た人、特に子どもたちが魚梁瀬杉の切り株の年輪を数えて遊ぶものですから、思いついたのです。

 吉報それとも・・・・。大目さんまた宜しくね。

  最後は木曽八景の一つと言われ奇岩が切り立つ「寝覚の床」の側でレストハウス木曽路を営む丸山時恵さんを訪ねました。時間がなくなってしまい、駆け足になってしまいましたが、レストハウスの展望レストランから見る寝覚の床はまさに絶景でした。丸山さんは敷地内に私立の美術館を持っており、小さいながらも学芸員を置くなど凄いことをやっている人です。この日はほんの駆け足でしたがそばを食べる天つゆ湯飲みは2千点も収蔵しているそうです。私たちが到着したのは昼頃でしたが、バスが7台も8台到着する時間帯だったので料理の数や大変な量でした。ここにはまだ観光神話が残っているようでしたが、それがまた丸山さんの深い憂うつにもなっているようで、同情しました。

 ふと思い出したのは、何年か前講演に来た折、この下の線路を走ったなあと記憶が蘇えりました。電車は天下の景勝地なのでスピードを落とし、過ぎ行く景観を楽しむよう車内放送があり、粋な計らいに感心したものです。

 丸山さんが「若松さん、電車が来ますよ」というので見下ろすと、さりげなく電車はゆっくりと通り過ぎて行きました。

 創造塾の半坂代表世話人もわざわざ見送りに来ていただきました。半坂さんは土木会社の社長さんですが、間もなく温浴施設もオープンさせる予定だと昨晩2枚の名刺をいただきました。前向きな実直な方でした。

食事が出来なかった私のために丸山さんは、レストハウスの前で販売している熱々の五平餅を包んで手渡し、熱い握手を交わして分かれました。

 列車の中でそれぞれの人や訪ねた土地を思い出しながら、丸山さんにいただいた五平餅を食べました。隣の席に座った子どもにもう一本の五平餅を差し上げ、寝覚の床と丸山さんの話をデジカメの再生ボタンでクリックしながら話してあげると、今度行って見たいと目を輝かせていました。塩尻から特急あずさ号に乗り換え新宿を目指しました。

 高知県馬路村で大目さんと出会った不思議なご縁が広がりました。このご縁も深くなりそうです。

  「握手した 手の温もりや 五平餅 別れし人を 思い出しつつ」

  「一本が 百万円も するという 木曽の檜の 寝床訪ねる」

  「連山に 雪を抱きて あき深し 風林火山の 破れし幟」

  「またいつか 必ず訪ね 会いたいと 暇乞いして 列車乗り込む」