shin-1さんの日記

○長距離フェリーに乗って

 日本は島国だけあって、全国各地の主要都市を結ぶ長距離フェリーが走っています。時間的余裕のない現代人とって、のんびりと船旅を楽しむ余裕なんてないものですから、主に貨物輸送に使われているようですが、例えば京都舞鶴と小樽を結ぶ航路は一度は利用したいと思っています。

 ところで昨日、仕事で福岡県須恵町に行くため、私は松山ー小倉間の長距離フェリーを使いました。夜9時55分に松山を出向した船は瀬戸内海を走って早朝5時に小倉の港に着きました。あいにくの雨模様でしたが、船を降り各駅停車の鈍行列車を乗り継いで、8時には須恵の駅に降り立ちました。降りてから駅長さんに聞いて気が付いたのですが、アザレアホールのある目的地は一駅先のこと、時間もあるのでゆっくりのんびり歩いてみました。秋風に乗って金木犀の香りが漂い、醤油屋の古いレンガ造りの煙突や町並みを鑑賞しながら、今度の旅はまさにスローライフだとしみじみ思いました。途中路を尋ねた若いお母さんは親切に路を案内してくれたし、人情の温かさも味わいました。

 仕事が終わって再び同じ道と同じ電車を乗り継いで、長距離フェリーの人となりました。今朝5時に松山観光港に着きましたが、九州旅行だというのにホテルに泊まることもなく戦中で2泊しました。船は片道だと4千円、往復だと何故か割引で6千8百円、小倉ー博多間1千2百円、帰りは途中駅からなので1千80円、しめて8千2百80円と今回も安価な旅は大成功でした。飛行機に乗れば片道だけでも1万7千5百円ですから、えらい違いです。

 しかし世の中には私たちが寝ている間に、社会のシステムを動かしている人が意外と多いことに気がつきました。長距離トラックの運転手さん、フェリーの乗組員さんなど様々な場所で黙々と働いているのです。

 フェリーを降りるとき、乗組員さんが「有難うございました」と声を掛けるのに、「私は金を払っている客だ」と言わんばかりに誰も無口で列をなし足早に去っていきました。私は「有難うございます。ご苦労様」と大きな声で言ったら、次の人も少し小声で「有難う」と後に続きました。乗組員さんの顔が嬉しさを表現しているようで気持ちよかったです。もしこの乗組員さんが「無口でしたら「多分お客は「あいさつも出来ない横着者」とののしるでしょう。お互い様の心であいさつぐらい返したいものです。

 年老いたおばちゃんが大きな荷物を持って四苦八苦、私は自分の荷物も両手に抱えていましたが、「持って上げましょう」と荷物を持って階段を渡りました。おばあちゃんは別れ際「有難う。助かりました」といって両手を合わせ拝んでくれました。こちらも思わずいい気分になりました。世の中左様に小さな新設が小さな和みの花を咲かせるのです。雨もあがり傘が無用の長物となりましたが、傘を忘れることもなく無事家に帰りました。泊まりに来ている孫が「おじいちゃんお土産は」。しまった忘れました。でも絵本を見ながら大きな船の話を土産話をしてやりました。孫が習いたての「海は広いな大きいな・・・・・。を歌ってくれました。

 余談ですが、レーダーがあると言いながら、船はあの暗闇をよく目的地に進みますね。船員経験のある私は分かるのですが、暗闇を走るときは自分の船も暗闇にしないと、自分の明かりで相手が見えず危険なのです。私の発見した「暗闇同化」の理論です。自分の位置を知らせる最小限の光を発しながら周りと同化することは人生においても学ぶべきことが多いと思います。

 

 

[ この記事をシェアする ]