○ゲンジボタルの幼虫上陸
昨日の夕方、遠縁で知人のお母さんが亡くなった訃報を聞き、急遽夕方7時に家を出て通夜の会場であるセレモニーホール伊予へ車で向かいました。夜来の風も止み雨も上がって静かな夜でした。一通りのあいさつや死者との面会を済ませ、親族一同の夕食会場で思い出話をしながら雑談に耽り、8時過ぎに会場を後にしました。その帰り道、先ほど電話を貰った市議会議員の岡田さんに再度電話を入れました。
先ほどの電話は「蛍の幼虫が上陸し始めたので見に来ないか」という誘いでした。通夜に行く途中だったので丁重に断わっていましたが、通夜を予想以上に早く切り上げたため、急遽蛍の幼虫の上陸を見たくなって再度電話を入れたのです。
岡田さんの説明によると蛍の上陸地点は私の家から僅か200m足らずの上灘川沿いだというのです。早速言われた地点まで車を走らせました。そこには既に岡田さんや蛍保存会の上西さん、それに翠小学校の教頭先生など3~4人の人がいて、川の側面を覗き込むようにして観察していました。車を止めてライトを消し、いわれる方向を覗き込むと水面から川の護岸を、光を輝かせて一斉に昇って来る無数の蛍の幼虫の群れを見ました。辺りは真っ暗なので余り分かりませんが、凄い数の幼虫が上陸していることが何なく想像できました。岡田さんや上西さんの説明だと護岸をよじ登った幼虫は川沿いの道を越えて田圃の土の中へ入るのだそうです。足元のアスファルト舗装の道には護岸を上りきった幼虫が何匹か這いながら動く様子が観察されました。
ゲンジボタルノ幼虫は4月中旬になると雨の日を待って上陸を開始します。これは幼虫が蛹になるために行なう行動だそうで、このころになるとカワニナを食べなくなって、自ら光を発光するようになるのです。幼虫が上陸を開始する日は一日中雨が降り続く日の風のない夜19時ころからだそうで、上西さんの話による桜の花が散り始めたころと合致しているようでした。
私が蛍と関わっていた何年も前に、地元で蛍きちがいとまで言われ亡くなった福岡親一郎さんから聞いていた、ゲンジボタルの上陸条件は、①最低気温及び水温が10度C以上であること。②一日の気温の変動が少ないこと。③水温と気温が同じ温度か気温が高いこと。④降雨時若しくは降雨後であること。⑤夜19時から21時であること。⑥幼虫が十分にカワニナを食べて成長成熟していること。日長時間が12時~13時間以上であること。でしたが、上西さんの話で付け加えれば、目安は桜が散り始めたころのようです。
私はこれまで見たい見たいと思いつつ、蛍の幼虫の上陸を目の当たりにすることはありませんでした。昨日の夜はラッキーにも、岡田さんの一報で通夜の帰りながら、見ることが出来ました。蛍が卵を産み幼虫になって川の中で生活し、蛹から孵って光を発しながら飛ぶ蛍の短い一生の中でも、幼虫の上陸行動は余り知られていないし、見る機会のないことなので、その姿には飛ぶ蛍を見た以上に深い感動を覚えるのです。
早速自宅へ帰って妻にその話をすると、「私も見たいからこれから連れて行って」と言われましたが、広間の忙しさや通夜の疲れもあって、「明日にしよう」と言い聞かせましたが、今日は孫たちにも見せてやりたいと思いました。
「幼虫の 上陸姿 見に来いと 電話連絡 貰って参じ」
「怪しげな 光を発し 這う幼虫 一ヵ月後の 乱舞楽しみ」
「長年の 思い叶って 幼虫の 上陸風景 感動しきり」
「私にも 見せてとせがむ 妻に言う 明日にしよう 疲れているから」