○二つの農作業
つい最近、手仕事と機械仕事という二つの農作業をしました。まずひとつは人間牧場の段々畑の一枚を耕しました。耕すといっても猫の額ほどの小さな畑なのですが、雑草に覆われて見苦しくなっていたため、落ち葉を拾って腐葉土づくりの作業が一段落したので健康のために体を動かそうと一人黙々と3時間ばかり挑戦したのです。鍬を使った作業は殊の外難儀な作業で、背中や腕や腰にどっかり負担がかかるのです。私のような歳になるとその時は何ともない作業でも2~3日すると疲れが出てくるので注意しなければなりません。
真冬の北西の季節風がもろに吹きつける畑なので、二枚も履いた靴下のしたから冷え冷えとした外気が伝わってきますが、体はポカポカと暖かくなってきました。土を掘り起こすと地下茎は偉いもので、もう春の準備でしょうか白い根がかなり伸びて雑草ならではの逞しさに感心しながら丁寧に草を抜き取りましたが、雑草が多いためにあっという間に集めた草が山のようになりました。この畑は私が子どもの頃白谷さんという石工さんにお願いして開墾してもらった畑なのです。そこへ母がみかんを植えていましたが今は跡形もなく枯れています。山林を開墾した場所なので掘るほどに小石がゴロゴロ出て来て、それを一ヶ所に集めたりしました。冬の季節風に晒しておくと掘り返した土は作付に適した用土になるのです。今年はここへも作付を考えています。
(耕した段々畑の一枚の畑)
4時過ぎに作業を終えて帰ろうとすると妻から携帯電話が入ってきました。「こんなに寒いのに帰らないので心配している」と気遣いの電話です。そういえば今日は町内で若い男性が正月から行方不明だそうで、消防団も出動する大掛かりな捜索が行われていて、県警のヘリコプターが海岸線を低空飛行して捜索しているのが人間牧場の眼下に見えました。この若い男性は水道屋さんに勤務していて、わが人間牧場の水道工事にも屋根葺工事にも来てもらった人だけに、この寒空に早く見つかって欲しいと祈りました。
下の畑では寒風をついて伊予かんの収穫作業が行われていて、顔見知りの人たちがお喋りをしながらみかんを摘む様子が風に乗って耳に届いていました。
家庭菜園も冬の季節を迎え、大根などの根菜類やキャベツ、白菜、ブロッコリーなどの葉物類も食べごろを迎えています。ゆえに毎日自家菜園の野菜が食卓に上り、妻も料理を楽しんでいるようです。
冬の間に土を掘り起こし寒風に晒すと病害虫に強い土になるそうなので、夏以来何も植えていない畑に耕耘機を持ち出して耕しました。昨年まではこの仕事も親父がこなしていましたが、92歳を迎える高齢なので、新しい耕耘機を購入したのを機会に、危険なためその使い方を教えず私が運転するようにしているのです。やがて椿さんが終わるとこの畑に春植えのジャガイモを作付しなければなりません。親父はそのことが気がかりなようなので、まだまだ元気で長生きしそうな雲行きで、人安心しているところです。
(耕耘機を使って中耕する私ー自動シャッターで撮りましたー中々のものです)
「野良仕事 いつか私の 身について 細々ながら 年中行事」
「教えろと 言うが教えぬ 使い方 親父に変わり やっと天下を」
「気が遠く なるほどせっせ 土を掘る 春の根吹き 雑草偉い」
「今年こそ しかと百姓 決意する 気力体力 揃わぬままに」