○静かな静かな里の秋
木枯し第一号が吹いた時は、「今年は早く寒くなって大変だ」と誰もが思ったに違いありません。ところがその後天候が回復して温度が上がり、今日などは秋とは思えないような温かさで、人間牧場のミツバチも勢いよく飛んでいました。ミツバチの師匠である山奥組の井上さんの話によるとミツバチは温度に敏感だそうです。
書斎の窓から見えるわが家の庭の一角にシノブが庭石に根を張って絡みついていますが、シノブは秋に紅葉するので今が一年中で最も見ごろを迎えていて、まるで深山幽玄の世界を見ているようで心がなごむのです。
近づいて見るとそれはもう見事でこのまま枯れずにいたらと毎年このころになると思うのですが、いかんせん次に木枯らしが吹くと風に吹かれて散ってしまうのです。私は若いころ盆栽に凝っていました。その後時間と暇がないため盆栽は断念しましたが、盆栽の世界では小さいもので大きな世界を連想させることができれば本物といわれていましたが、この庭石に絡まったシノブはまさにその意味では大作といえるようです。
裏山には名前は分りませんが、真っ赤に熟れた実が鈴なりの植物を見つけました。普通は庭の平戸つつじに絡待ってつつじの成長を妨げるため取り除いていますが、草刈り機が届かなかったのか真っ赤な実をつけて秋を演出してくれています。
また、初夏には沢山の実をつけて私たちを楽しませてくれたブルーベリーの鉢植えの小枝の葉っぱも日増しに紅葉し秋を楽しませてくれているようです。やがてシノブも名もなきツルも、またブルーベリーの紅葉も深まりゆく秋とともに葉っぱを落とし厳しい冬になるのでしょうが、せめてこの家の主人くらいは畑や庭の植物を愛でながら行く秋を楽しみたいと思いました。
今日は親父に頼まれてナスを取り除いた畑を耕耘機で耕しました。親父が撒いた真っ白い消石灰の上を耕耘機が面白いように耕して行きました。やがて間もなくこの耕した畑にタマネギの苗を植えるのです。
「庭石に 絡まるシノブ 日を増して 黄色く染まり 深山幽谷」
「雑草と 思しきツルに 赤い実が 鈴なりなって 秋を演出」
「見渡せば ハゼの紅葉も 鮮やかに いつの間にやら 秋深くなり」
「秋ナスの 抜かれて石灰 雪のよう 耕耘機音 耕し進む」