○快適だと思われる冷房が体の調子を狂わせる
いよいよ今年も暑い夏がやってきました。近頃はどこへいっても冷房が利いていて、冷房の利かない公共の施設は殆どないと言っていいくらいで、間もなく甲子園で高校野球が始まると、電力消費量は一年中で一番多くなるのだそうです。それは冷房に電力を使うからでしょうが、一方では省エネや地球温暖化を心配しながら、庶民の暮らしは便利さや快適さを追求しているのです。
近頃仕事から帰ってきた妻が暑さを強調するようになってきました。勤めている歯科医院が何年か前新築し冷房がすこぶる効くようになって涼しい所で仕事ができるようになったのはいいのですが、我が家へ帰るとその冷房のせいで体が冷え切り、温度の調節が効かないのか熱く感じるのだそうです。たぶんそれは冷房病だから気をつけた方がいいと注意をして、少し厚手の服を着ているようですが、どうも体が熱くてだるいというのです。
私の家は川沿いの谷筋高台にあるため、窓を開けて網戸にすると昼の陸風、夜の海風が適当に入り、冷房がなくても扇風機程度で夏は過ごせるのです。職場と家庭の温度差が妻の体調を知らず知らずのうちに狂わせているようです。
そのため妻は自衛手段として夏でもシャワーを使わず、風呂桶にいっぱいのお湯を張り、寝る前にしっかりと体を温めて逆に汗をかいて体を元に戻しているようです。快適なはずの冷房が体調を崩す原因となるのですから、いくら冷房に慣れているといっても、冷房をつけたまま寝たりするのは考えものだと思いますが、今の人たちはもう冷房のない暮らしは考えられないようです。
私は晩年教育長を2年やりました。その時は広い部屋が教育長職にはついてきましたが、冷房の嫌いな私は毎朝大きなガラス戸をいっぱい開け自然の外気や外風を取り込んで執務をしましたが、皆からは少し変人扱いされました。でもそのおかげで通りに面した窓の外から「教育長さん元気ですか」と弾んだ声がいくつもかけられ、窓を開けたコミュニケーションが随分広がりました。おかげさまで2年間の短い期間でしたが省エネに貢献できたばかりか、体調も維持できて良かったと思っているのです。
4年前に自由人になってから、会合の機会は少なくなってきましたが、それ故でしょうか車や船などの移動手段や講演会場などでは寒過ぎて先日も鼻風邪のような症状になりました。車や船に乗った人、講演を聴く人たちは平気で涼しそうな顔をしているのです。夏に風邪をひくとはお粗末な私です。
冷暖房は何も人間の世界だけの話だけではありません。最近は野菜や果物を作るのに暖房や冷房を使って農業をしているのです。私たちは夏には体温を下げる食べ物を食べてきました。スイカやキューリはその典型で食べると体温が下がるのです。逆に冬の根菜類は寒さから身を守るために体温を上げるような作用があって、食べるとポカポカするのです。ところが最近は夏の食べ物が冬食べられ、冬の食べ物が夏に出回るのです。季節を逆転した食べ物を冷暖房の完備した部屋で食べるのですから、体の調子が狂うのは当然のことなのです。
「理にかなう」という言葉がありますが、私たちはもう少し理にかなった生き方をしなければ、大きなしっぺ返しを受けるのです。いやもうそのしっぺ返しは始まっているのに気づかないだけのことかもしれないし、気づいていても見過ごしているのかも知れませんね。自然の反対後は不自然です。冷房は不自然と思いませんか?。
「自然だと 思っていても 不自然な 生き方してる 愚か人間」
「夏野菜 熱を下げれる 効果あり 夏にどうして 根菜食べる?」
「理にかなう 生き方せねば 人間は 今に滅びる 思うが大事」
「小さいが 私だけでも せにゃならぬ 大は小たち 集まりできる」