○一周忌法要とうどん
父の弟嫁、つまり私にとっては叔母になる人が亡くなって早くも一年が経ちました。今日はその一周忌の法要があるというので妻と二人で朝早くから出かけました。この頃は身内の人ともお目出度やお悔やみ以外には中々会うこともないので懐かしい思い出話に花を咲かせました。叔父や叔母も随分歳をとって、ああ高齢化社会だなあと思いつつ、和尚さんの長い読経に正座もままならない姿を見ながら、やがてわが身かなと思ったりもしました。お墓参りも無事済ませ昼食時間となりましたが、田舎のことゆえ、また私の親族は多いので近所の公民館を借りての小宴となりました。料理以外にこちらの地域では法事にうどんがつき物なので、うどん好きの私としては楽しみで、釜揚げのようなうどんを漬け汁に薬味を入れて食べるのです。その美味いことときたら格別で、私は2杯もお代わりをしてしまいました。うどんはうどんの麺と漬け汁が決め手です。うどんは腰の強い麺が好まれますが、最近は冷凍うどんが普及して生麺と変わらないものが多く出回っているようです。
問題は漬け汁のダシですが、こちらでは大豆と昆布としいたけ、それに煮干しを使います。漬け汁には少し固めの大豆が丸ごと入っていて、慣れない人は「えっ、うどんの漬け汁に大豆が入っている?」なんて驚きます。私たちにとっては普通のことでも、慣れない人には驚きなのです。最近の若者は味噌汁でもダシを取らずにダシのもとで代用しますが、私たちのような古い人間にはダシのもとなどはダシではないと思うのです。上等なダシと上等な醤油で造った上等な漬け汁で食べるうどんはやはり法要の一番のご馳走なのです。亡くなった叔母さんには大変失礼な話ですが、法要もうどんが食べられる楽しみがあるから長いお坊さんの読経もじっと我慢が出来るのです。
それにしても田舎の人は朝早くから、みんなでコウロクと称する助け合いをしてうどんやお寿司を造ります。親戚内には何人か寿司を作るのが上手い人、うどんのダシを作るのが上手い人などがいて、「あんたがいないとお寿司は出来ぬ」と褒め殺しにあい、結局はコウロクのメンバーとなって最後までコウロクしてしまうのです。
ところでこの死んだ叔母さんの葬式には私が親族代表のあいさつをしました。その叔母さんの夫である叔父の死んだのが昭和45年、今から36年前46歳で亡くなりました。何とその時も私は親族代表のあいさつをしました。夫婦二人の葬式に二人とも私が最後のあいさつをするなんてと葬式の日に思ったものでした。
「天国で 叔父に再会 したならば 私も進ちゃん あいさつ伝え」
「うどんとは 運・鈍・根の 略語なり 三つ揃えば 立派な人に」
「読経など どっちでも良い 俺うどん 早く食べたい 早く終わって」
「海と山 産物混ぜて ダシを取る 美味しいはずだ うどん肴に」