○トタンで作った中国式万里の長城
最近の私のブログ「shin-1さんの日記」はまるで旅日記のようです。昨日埼玉かと思えば今日は広島と全国各地をまるでフーテンの寅さんのように気になるカバンを提げて出歩いています。
今日は広島県安芸高田市の甲山町を訪ねました。担当者が清水しげ子さんといって、字こそ違え私の妻のの名前と一緒なのです。最初講演についてメールのやり取りをした時には、かつて妻と交際した頃を思い出し、淡い恋心を抱くような心境でした。今日お会いをしましたが予想をはるかに超えた、気配りの出来る方でした。勿論妻よりも数ランク上とお見受けしました。(妻には内緒です)
晩秋の安芸路は山が赤や黄色に染まり、日本晴れの青い空に映えていました。多分待ちの中に住んでいる人たちには見なれた光景ですから、美しくも感じなと思いますが、茶色の屋根とマッチして、とても絵になる光景でした。私の町を彷彿するマッチ箱のような一両編成の黄色い電車に乗って、のんびりゆっくり本を読みながら各駅停車の旅を楽しみました。乗り降りする人も穏やかで、気軽に声をかけていただきました。「どちらから」「はい愛媛県から来ました」「まあ、遠い所からご苦労様です。どちらまで行かれますか」「はい甲山町まで行きます」「何をしに」「はい講演を頼まれてお話しに行きます」「えっ、何を話しに行かれますか」「はい、まちづくりについてです」「じゃあ、先生ですか」「いやいや私は先生じゃあありません。田舎のおいちゃんですよ」と、まあ長閑な会話です。多分そのおばちゃんは私の風采を見て「えっ、あんたが何で講師?」って感じが見え見えの会話でした。
それにしても、車窓に気になる光景が続いていました。波型トタンで畑のあちこちを囲っている光景です。中国地方では万里の長城ならぬトタンの長城とでも呼ぶのでしょうか、何処までもどこまでも続いていました。これはイノシシの食害から作物を守るために作られたイノシシ避けの柵なのです。進んだところでは波型トタンに変わって電圧線を張り巡らしていますが、山間地ではまだまだトタンの柵が多いようです。どの地域もイノシシと人間の知恵比べが行われているようであり、ただいまのところ人間とイノシシの知恵比べはいのししに5分の利があるようです。あのトタンもタダではないはずですから、イノシシのために中国山地では、農家に大きな負担が強いられているようです。
「そのうちにイノシシならぬ人間がトタンで囲われ行き場失う」
「山里に落ち葉煙が幾筋もああ長閑なり日本のあちこち」
「今頃は甘柿熟れてもど子どもらは見向きもせずに去り行く寂びし」