○私の呼び名は何?
私は若松進一、小さいころから「進ちゃん」と呼ばれ、丁寧な人は「若松の進ちゃん」と呼んでくれます。しかし我が家では、私の呼び名が随分変遷してきました。結婚したごろ妻は「あなた」と呼んでいました。「あなた」という声の響きはいいもので、すっかり気に入っていました。最近の若者は結婚しても名前や愛称で呼び合い、まるでお友達といった感じです。
長女・長男が生まれ、子どもが言葉を喋れるようになった頃から妻は私のことを「お父さん」と呼ぶようになりました。「お前のお父さんではない」と何時も言ってやるのですが、未だに私のことを「お父さん」と読んでいます。ところが孫が出来た最近では私のことを「じいちゃん」と呼ぶのです。我が家にはじいちゃんが二人おるので、物心付いた孫から「どっちがじいちゃん」と先日指摘を受けました。「あっちはおおじいちゃん。こっちはじいちゃん」と説明しましたが、2歳の孫には理解し難いようです。
我が家には池があってじいちゃん自慢の立派な鯉が8匹泳いでいます。実は孫にとってこれも「じいじ」なのです。結局我が家には「じいじ」が3匹いや2人と1匹、合計3つもいるのです。それでも孫の呼ぶ「じいちゃん」という響きは何ともほのぼのとして気持ちがよいので、これからも妻には孫がいる時は「じいちゃん」と呼んでもよいと思っています。
妻の呼び名は結婚した最初から「繁子」と偉そうに呼び捨てにしています。しかし家庭では面倒くさいこともあって、「おい」や「お母さん」などと呼んでいますが、期限が悪いときに「おい」などと呼ぼうものなら「私はおいという名前ではありません」とぴしゃり返されます。「しもうた」と思いつつ、結局は「おい」で通じる夫婦間のコミュニケーションで何とか日々を暮らしています。
先日どういう風の吹き回しか私のことを妻が「進一さん」と呼ぶのです。何か魂胆があるのではと思ったのですが、さりげなく過ぎて行きました。
日々の暮らしもこうしてじっくり観察してみると案外面白いものです。