人間牧場

〇私は足長おじさん?

 冬の間は朝6時30分でも外が暗く、夕方5時になると陽が暮れていましたが、さすがに春の予感がするこの時期になると、ジョギングに出かける6時30分にはすっかり夜が明け、ルンルン気分で一日が始まります。昨日人間牧場の山道を歩いていると、私の影が朝日に照らされて、長く伸びているのを見つけました。早速車に積んでいたタブレットを取り出して、遊びのつもりで自画影を撮影して見ました。

私の足長影
私の足長影

 私はどちらかというと胴長短足の純日本人タイプの人間なので、子どものころから足の長い格好いい人に憧れていました。特に青年時代は石原裕次郎などの映画を見る度に、自分の胴長短足を嘆いていました。人間は自分の欠点を嘆き、自分の欠点を長所に持っている人を羨ましがったり憧れたりするものです。しかしそれもいつしか叶わぬ夢と諦めてからは、自分を見失うことなく生きてきたつもりです。

 私の影は光線の悪戯ですが、実像ながらある意味光が造った虚像なのです。この日私は近くに人の気配がないことをいいことに、また覗きをしたり座ったりして、タブレットをオモチャ代わりに少しの間遊びました。すると運の悪いことに、そこを近所の農家のおばちゃんが軽四トラックで通りかかり、「進ちゃん、何しているの?」と車を止め、窓から首を突き出して私に聞きました。「私が俳優の撮影会!!」と言うと、「俳優って誰?」と聞き返しました。

 私は自分の影を指差しながら、「ほら石原裕次郎みたいな足の長い人」と指差すと、「あんたも面白い人じゃねえ。笑い話みたい!!」と大笑いし、「一緒に写真に写りませんか?」と言うと、呆れた様子で首をかしげながらその場を去って行きました。世の中は高杉晋作が言っているように「面白き ことをなき世を 面白く すみなすものは 心なりけり」です。楽しいと思えば楽しいのです。かく言う私も、自分自身の挙動不審に呆れた束の間でした。

  「春が来て 日脚すっかり 長くなり わが姿さえ 足長になり」

  「持っていた タブレットにて 足長の 自画像撮って 満足馬鹿だ」

  「何してる? 通りすがりの おばちゃんが 不審行動 首をかしげて」

  「面白き こともなき世を 面白く これがモットー 笑い飛ばして」 

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