人間牧場

〇いっぷく亭での小噺

 伊予市の商店街の中ほどに空き店舗を利用したいっぷく亭という施設があります。商業協同組合の徳本さんたちの発案で、気軽に立ち寄れれてお喋りができるようにしようと始めたようですが、この二年私は春夏秋冬と一年に四回、小噺を頼まれて出かけているのです。毎回超満員ですっかり顔見知りになった人たちを前に、小噺をするのですが、相手が同じなので毎回テーマを決めて90分聞いてもらっているのです。
 実は昨日、私はいっぷく亭に行くことをすっかり忘れて、人間牧場で農作業をしていました。汗をかいて寒気をもよおしたため、少し早めに自宅へ帰りました。帰るなり愛大付属中学校の副校長先生から、「資料を届けたいので明日の予定は?」と電話が入りました。書斎に置いているスケジュール表を見て「明日の午後2時自宅で」と約束をして、いっぷく亭での講演予定が入っていることに気がつきました。

二年間続いたいっぷく亭での小噺が終わりました
二年間続いたいっぷく亭での小噺が終わりました

 取るものもとりあえず農作業服からスーツに着替え、昼食も取らず車を走らせました。普通は毎回30分前に到着するため、「今日は来るのが遅いねえ」とみんなが噂していた所へ、何とか滑り込みセーフです。午後1時30分からの予定でしたが、5分前には全員が揃ったようなので、小噺を始めました。何の用意もなくそれから90分、口から出任せで喋るのですから私もいい加減な人間です。
 いっぷく亭に来る常連さんに混じって、目の不自由な方がご主人の押す車椅子に乗って毎回やって来て、最前列で熱心に聴いてくれています。これはもう小噺冥利に尽きる喜びで、その人のためにもしっかり話そうと心がけてきましたが、2年間続いたお楽しみ講演会も昨日が最後です。そう思うと妙に後ろ髪を引かれるような気がするのです。

 昨日は世話役の谷岡さんから、「いっぷく亭の歌」というDVDを2枚いただきました。中には「ちょっとおよりんか」と、「ありがとう」という歌が納められていますが、歌:ユッキー、作詞:谷岡和美、補作詞/作曲:冨士井建樹さんが関わってできた労作のようで、講演が始まる前みんなに披露されましたが、中々いい歌です。谷岡さんの娘さんが書いたイラストや墨字も何処となくほのぼのとしていました。
 昨日は帰宅後咳と熱が出て、どうやら風邪を引いてしまったようです。妻は温かい食事や薬を用意してくれ、居間のコタツに潜り込んで少しだけ昼寝をしてしまいました。妻の気配りにはいつものことながら感謝をしています。夕方かかってきた高知県馬路村の木下彰二さんから、「余り無理をしないように」と注意をされ、また木下さんから聞いた電話番号で、高知県の松崎さんにも電話を入れ、電話による交遊を暖めましたが、松崎さんにも同じような注意をされてしまいました。

  「講演を すっかり忘れ 慌てたが 何とか間に合い 事なきを得る」

  「不自由な 体をおして 車椅子 私の小噺 聴きに来てくれ」

  「この二年 あれやこれやを 小噺に 客席埋まり 賑やか笑い」

  「世の中にゃ 堪能な人 いるもので 作詞作曲 軽やかメロディー」

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